プッタパルティ巡礼

先週末は、プッタパルティ巡礼。
金曜日の深夜に到着し、月曜日の早朝、チェンナイに出発するというタイトスケジュール。
結婚後、彼は大学の後輩から幾度となく、『ぜひ、結婚祝いのご馳走を!』とリクエストされていた。日本では、知りあいにおめでたい出来事があれば、仲間がお金を出し合ってその人の伸展を祝う。インドはその逆で、祝われるべき当人が周りのみんなにお菓子やご馳走ふるまう習慣がある。「神からの祝福を仲間と分かち合う」といった意味がこめられているというのが、インドっぽくてなんだか微笑ましい。
それに加え、寮生活を送っているせいか、サイ大学の先輩と後輩の絆はとても強く、卒業していった先輩は、就職活動を迎える後輩たちに、参考書や就活に役立つ情報などをプレゼントするしきたりがある。出発前、私たちはチェンナイのお菓子屋さんと本屋さんをはしごすることになった。

パルティ滞在期間中の主なイベントは、夕方のダルシャン2回と、その他諸々。到着翌日、とりあえず甘いものを配りに・・・という彼に連れられて、サティヤサイ大学の構内に向かった。
プッタパルティのメイン通りからは、大学の壁に飾られた学問の神、サラスワティー女神弁財天)や、中庭に祀られたガネ―シャ神を目にすることができるけれど、構内に足を踏み入れるのはこれが初めて。
駐車場を兼ねた前庭を過ぎて建物の中に一歩入ると、まるで見えないベールを通過したように、ガラッと波動が一変する。アシュラムの中に漂うような甘いまどろみは一切なく、身体の惰性が針のむしろの上で突き刺されるような、張りつめた神聖さ。塵ひとつ落ちていない芝生の上にクリスタルのような陽光が降り注ぎ、敷地内に漂う槍のような神聖さを照らし返している。
サリーを掴む指に力が入って背筋が伸びた。思わず息を飲み、ここは完全に神の支配下にある場所だということを直感する。そして、この雰囲気を鋭く感じるということは、私の状態がアーユルヴェーダ的にタマシック(不活発)にあるということも薄々と直感...(撃沈)。背筋が伸びるような神聖さとは逆に、通り過ぎる教授陣の瞳の奥に例えようもない神聖な甘さが宿っていたのがとても対照的だった。

ハリーポッターに出てくるようなおとぎ話のようだけど、実際、パルティには様々な神が歩いていて、見える人には見えるらしい。特に、ガネ―シャ神音楽大学に通っていたある学生は、冬の期間、毎朝起きるとガネ―シャ神が寮の部屋に来ていて、「セヴァダルが冷水でアビシェーカ(聖水を灌ぐ儀礼)して寒いから、温かいシャワーを浴びさせて・・・」というガネ―シャ神の御神体を沐浴するお世話をしていた。また、数年前、ダルシャン中のスワミの付き人(フォームボーイ)をしていた別の学生は、ある期間中、寮の門前で毎日ガネ―シャ神が待っていて、学校までの道のりを一緒に歩いて送っていたらしい。学校に着くと、ガネ―シャ神が、「じゃ、また午後に」といって去る。さらには、別の学生が夜遅くに構内を歩いていた時、ハヌマーン神が歩いて見回っているのを目撃し、この学校は猿神ハヌマーンによって守られていることを識ったらしい。いずれも、私たちが人間を見て対話するように、ごく普通に神を見て対話していたというから驚き。他にも、教授や学生の間でしか語り継がれていない門外不出の逸話が財宝のように埋もれているらしく、とても興味深い。

サティヤサイ大学サイババが学長なだけに、一般的に、宗教や霊性のことだけを学んでいると思われがち。しかし実のところ、インドのNAAC(国立アセスメント認定評議会)の認定を受けた他、州内54校中、トップ10入りしてA++をマークする程、学業レベルは高い。そしてその生徒たちが、口を揃えて狂言に興じているとは思い難い。
学生寮を建設した際、サイババは、「イーヴィルスピリットが降りてこないように」と寮の屋上に蓮の花のモチーフを飾ることを命じた。私は、各国の聖者や博識者達から『万物の神』と囁かれているサイババでさえ、『魔よけ』を施すよう指示なさることを意外に感じた。「サイババを信じていたら絶対大丈夫」と信じてひたすら待ち続けるよりも、魔よけや礼拝といったことにおいても、識別心を生かして自ら行動を起こすことも大切なんだろうなぁと思った。ま、数十万円の石を用意されたら、さすがに引くけど・・・。

「試験を控えているから御馳走会は延期」ということで挨拶だけ済ませてフラットに戻り、ダルシャンに出る支度を始めた。久しぶりに巡礼すると、何時に列のくじ引きが行われるかわからないので早めに出発することにした。もうすぐシヴァラートリーが近づいているせいか、アシュラムはとても混雑している。日本の常識からすると奇想天外に聞こえるかもしれないけれど、シヴァ神の化身として降臨されたサイババは、シヴァラートリーの夜、身体の中からいくつものシヴァリンガムを吐き出すため、朝方には喉を傷めて声がかれていることが多いという。
はじめてその話を聞いた時、信じられない思いだったけれど、自然の摂理なんだろうなぁということで納得。女性なら理詰めで説き伏せられようとしなくとも、「あ、なるほど...」とすんなり受け入れられる事実なのかも。

アールティ終了後、サイババはダブルブレス(両手をあげて祝福する仕草)で参拝者を数回祝福なさったあと、いつものように直ぐには移動せず、中央の定位置でしばらくの間、寛ぎながら静止されていた。特定の参拝者に意識を注がれている様子はなく、なんだか「もっと私を見て味わっていきなさい」と仰らんばかりの雰囲気。一説では、ダブルブレスを授かるということは、シヴァ神パールヴァティ女神の祝福を一挙に受けることを意味するらしい。ダルシャンで享受する至福感のせいか、一日目の夜には、すでに数日間も滞在しているような錯覚を起こす。
今週末は数のせいか、数量限定プラサードが配布された。

土曜日に配られたのは、白胡麻(White Til)をまぶした北インドのスナック菓子、『Rewari(Revadi:レーヴァディ)』。日本の生姜せんべいに白胡麻をまぶした感じでとっても美味しい。インドにこんな...、激甘でも激辛でもないお菓子があるなんて、嬉しい発見。「これ、食べられるんだ(インド人の味覚からでも美味しく感じるの)?」と彼に聞くと、ローリーパンジャブ州の収穫祭)に出されるお菓子で、とっても有名だよ、という答えが返ってきた。いつもは不評の和菓子の手土産....次回、彼の家族へのお土産は、これにしようと思った。


日曜日に配られたのは、サイババ自らが語られたシルディサイババにまつわる逸話を編纂した小冊子、『Shirdi Katha』。

礼拝の方法やシルディ・サイに捧げるガヤトリーマントラの他、アルティや聖火についての説明が掲載されていた。


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