職人さん

 

雑食という言葉がありますが、私の場合は、単なる雑職です。


運命に身を任せ…と言えば聞こえ良いですが、色んな職務を点々としているため、一つのことを繰り返し遣り上げる精神力や、可能性を信じ、より良きものを目指して努力を惜しまない「職人」という生き方には修行者のようなストイックさを感じ、無条件の敬服を感じます。 古から、師に弟子入りして技を磨く職人さんの生活は仕事の性質上、天気や自然に左右されるところが大きく、 お天道様 を仰ぎ見る心や古来からの 日本文化 を尊ぶ精神が、ごく普通に宿っているように思えます。


以前、そういった 職人さん を対象にした番組に携わっていたことがありました。


卸金、鏡、鉄鋏、染物、錫器、黒文字、茶筅、櫛、和菓子、印章、たわし、万年筆、その他多くの 手工業伝統工芸品 …。 何でも機械で大量生産できるこのご時世に、あえて時代と逆行し、頑なに手作りの製品を世に送り出すスタイルを守り続ける職人さんには後継者がつき難く、多くの場合、その方の他界とともに製品も市場から消え去ってしまう…というのが実情です。 中には “最後の名工” と称され 勲章 を受勲している方々もいらっしゃいましたが、そういった方が華やかな称賛の陰で仕事中に醸し出す、地味で愚直な佇まいは非常に印象的でした。


取材中、作業工程を撮影させて頂くのですが、モノの原型に宿る“何か”と対話しながら適切な処置を“勘”で察し、黙々と作業を進めて行く職人さん。その後ろ姿に、シャレにならない程の人生の重みや覚悟を感じてハッと息を飲み、取材班という立場を忘れ、邪魔にならないよう気を静めて直立不動する…ことがよくありました。 職人さんの奥さまが前にしゃしゃり出て取材陣に応じるということは殆どなく、そういった方々…老夫婦の間には、お互いを信じきって支え合っているような、ひっそりとしたぬくもりが流れていて、素敵な人生を歩んでこられたんだなぁと感動することがよくありました。 モノ作りに携わっているからこそ、幸せはモノの豊かさではなく、心の豊かさで測れるというのが生き様として表れていたのかもしれません。

ある日、染物職人のロケが終わった時です。 女将さんから、「御土産に好きな風呂敷をあげるわよ。あなた、風呂敷 の包み方知ってる?」と聞かれ、大変恥ずかしい思いをしたことがあります。 物心がついた頃から手提げカバンを利用していて、「風呂敷」など持ったことはありませんでした。


「まぁ! 日本女性として自国の文化を知らないのは恥ずかしいわよ、簡単だから教えてあげるわ」と言われてご伝授頂いたのですが、これから海外に行く身…。 考えてみたら、日本では単なる“一個人”の言動が、海外では“日本人”の民族性として見られる…という事実を忘れていました。サイババ も、サティヤ・サイ大学 のビジネス経営スクール(MBA)記念式典の講話で、「ビジネスで最も重要なのは文化と国」と語っていることですし、

うーん、はたして、どれだけ日本文化を知っているのか…。 


先行きはかなり怪しいですが、大和文化好きの知人が運営している歴にまつわるブログ でも見ながら、少しずつでも勉強していきたいと思います。



Japonism Links:


職業:  職人
和もの:  伝統工芸品
和もの:  風呂敷
講和出典: ビジネスで最も重要なのは文化と国 
【ババの御言葉】タブから - 2007/8/22 サティヤ・サイ大学MBA開講21周年記念
おまけ:  日本唯一の金平糖屋さん      
       慶応年間から変わらぬ製法で大きな鉄鍋を回転させながら、16日間かけて作るお手製の金平糖。御花見のおともにどうぞ…美味です。

日本文化: 国立歴史民俗博物館