サイババ紀行

きっかけは、元上司からの一本の電話でした。

去る11月23日、インドでお祭りムードを味わっていた時です。 かつて四六時中を共にし、番組制作に仕事人としての心得、そして真心の届け方を一から教えて下さった、大変お世話になったTVディレクターから国際電話が入りました。

11月23日。 日本では 「勤労感謝の日」 としてお祝いしますが、世界各国のサイ信奉者の間では 「サイババの誕生日」として、劇や演奏やスピーチなど多岐にわたるイベントで賑わいます。

その方から連絡があったのは6年ぶり。 しかも、選りによってこの日に!? と思って帰国後に連絡してみると、

「この前みんなと食事してたら O O ちゃんの話になって、最近どうしてるかな? と思って。 それになんか、電話しないといけないってヘンな胸騒ぎがしたんだよね」 …と。 

さっそく皆でディナーをすることになり、数ヵ月後にはインドに移住することを告げると、半ば呆れかえられながら、「せっかく神様がこんなに便利な日本に生まれさせてくれたのに、なんでまた、そんな不便なところに行くのッ!?」 と問われました。 それもそうだな… と思いながら、

「いやー、インドって最近色々と面白そうで、色んな聖者がいるから巡礼とか行ってみたいんですよねー。」

「あー、そうだね、O O ちゃんって昔っから神様好きだったもんね。 ほら、なんか焦った時 『オーマイゴッド』 ってよく言ってたし。」

「 …いや、それは、神様好きとかじゃなくって、ただ単に、(思春期をアメリカで過ごしたので)とっさに出てくる言葉がそれだっただけで…信仰心とは関係なく…」

「へー! でも、聖者とか誰がいるの?」

「え、 サイババ とか、 アマチ とか。 あと、昔生きてた聖者の生まれ変わりとか、神話に出てくる神の化身とかもいっぱいいるらしいですよ!」

「フー…ん(引き気味)。 あ、でもサイババはやめておいた方が良いよ。 あの人の物質化、インチキらしいし。 他にいないの?」

「え? …いやぁ〜、あのぉ…」  
サイババ好きの私は、思わず、心の中で絶句 してしました。 

オー マイ ゴッド!


・・・・・・・


たしかに、 好むと好まざるとに関係なく、多くの日本人の中では、過去の「話題の取り上げられ方」によって、「サイババ=奇蹟現象を起こす人」という意識が根付いているんだなぁ、と報道の威力にあらためて感心しました。 私自身、公の場で政治と宗教の話はマナー違反というエチケットに基いてそういった話題を避けてきましたので、かつての恩師から一般論を聴けたことは、とても新鮮でした。

マスコミは、数多の情報を集結し、編集して発信する機関。 その中枢にいる方々のコメントは、(事実と認識が一致するかは別として) 総体的に一般意識からさほどズレていない反面、TV放送においては、子どもから高齢の方々に向けて一斉に情報を発信する媒体なので 視聴率 を狙う番組ほど、わかりやすさとエンターテイメント性が最優先される傾向にあります。


で、 「サイババ=奇蹟現象を起こす人」。

情報とは大抵そんなもので、限られた時間枠の中で、至近距離から ある一点に 強烈なスポットライトを当てると、事実関係や周辺状況は 漆黒の陰影と 同化して 存在しないもの… として報じらることがよくあります。


「なるほど…。」
私は思いました。


私の知る サイババ は、奇蹟じみたことを起こす マジシャン ではなく、どちらかというと インド の教育指導者や人道的活動家で、聖者 のような霊的指導者…。


海外に於いては、社会奉仕事業の方が高く評価されていて、2001年には、ノーベル賞 選考委員会の委員長(フレッド・ノーベル氏のご子息のマイケル・ノーベル博士)が、インドのIT都市、 バンガロール を訪れた際、 プッタパルティ に「"Dream Hospital" = 夢の病院」 があると聞きつけて現地を視察したところ、その運営に驚き、ぜひノーベル平和賞を…!となったけれどもサイババが固辞したため、代わりに衛星ラジオ (サイグローバルハーモニー) を贈呈した…、という話や、ヒューマン・バリューを主軸とする教育法が諸外国で高く評価されていて、国によってはそれを推奨する日を制定している…、といったことを どれだけの人が知っているのだろう? という疑問が浮かびました。


サイババ = マジシャン とお気楽な感じで認識されている状況は 世界的にみても極めて可笑しく、珍しい。


それなら、渡印というこの好機を生かして、一個人が見て感じた生の体験(実感)を、自分の記憶のために、そして、偶々ご縁があって読んでくださる方々に対して、紀行という形で綴っていきたいなぁ、と思いました。

すべて個人の主観に基づいて記述しているため、日印における公式機関とはまったく関係がありませんが、ある種、生のノンフィクションですので、もし、何か一つでも過去の報道と現在の実情とのギャップを埋めるうえで、参考となる情報を提供することができたとすれば、それはそれで望外の幸せです。 また、インドのインフラや諸状況によって更新が遅れることや、滞在期間が長くなるにつれディープな体験が増えてくること、サイババ以外にも、スピリチャル、グルメ、音楽、旅、些細な日常、色んな事に興味が及ぶため ブログの内容が多岐にわたることなどもあるかと思いますので その旨、ご了承頂けますと幸いです。 最後に、数行で済むことを長々と記述したことをお詫びします。

それでは、今から行ってきます − Here We Go.


平成二十一年三月吉日
サイ・ラクシュミー



にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 菜食・ベジタリアンへ
にほんブログ村
ブログランキングに参加しています。 応援クリックして頂けますと幸いです。