お部屋探し

サイババのアシュラムのメインゲート前には、ガネーシャ神が祀られている。
ここ数日は、「素晴らしいお部屋が見つかります様に…」 とお祈りをしてから、部屋探しのために街へ出かけている。 外は、37度。段々、暑くなってきた。まだ三月だとというのに、日中は私の平均体温より、すでに暑い。 

インドでは、外国人価格というものが存在していて、外国人であれば、確実に、現地価格の数倍から十数倍近くもの値段をふっかけられる。その悪習は隅々まで蔓延していて、対象商品は、ほんと、些細なもの…たとえば座布団一枚から、オートリキシャー(タクシー)、アパートの価格、電化製品など、そのルールが適用されない商品はないといっていいぐらい。いくら英語が達者とはいえ、外国人、それも日本人女性というのは、価格交渉に於いては何かと結構、大変。正直価格に慣れている身としては、ギラギラした目の相手と法外な値段から交渉をして価格を下げていくという行為自体に気疲れしてしまい、かなり億劫で、後味が悪く感じる。できれば、避けたいタスク。



今日もまた、部屋探しをするために、一足先にパルティに着いている方に同行をお願いしようとガネーシャゲートの前で待っていたら、なかなか、会えない。アシュラムでは、すべてが何かの流れに沿って起こっているようで、会えないときは、どんなに大事な用事があっても、徹底的に会えない。円高の好機にルピーに換金しておいた方が良いとアドバイスをもらったものの、現地の住所がないと、銀行口座は作れない。もしかして、お子さんが体調を崩したのかもしれない。何か、大切な用事ができたのかもしれない。。。一人で行こうか、と思ったそのとき。

信じられない。

今頃は北インドにいるはずの、渡印前に神戸でヴェーダを教えてくださったサイ大学の卒業生が、ゲートに向かって歩いて来た。 

!!!
あまりのタイミングに、思わず言葉を失った。もし、手を貸してくだされば、こんなに心強いものはない。…でも、気づかないかもしれないし…、お忙しいかも知れないし…、それにいきなりこっちから声を掛けて覚えられてなかったら気まずいし、部屋探しを手伝ってくださいっていうのも厚かまし過ぎるし…って思いながら、声をかけないことに決めた。自分のことになるとウジウジしてしまう性分。

そうしたら、なんと先方が私に気付いて、こちらに歩いて来てくださった。驚きを露わにしながら。これこそ、Oh My God の世界。 What are you doing here?! 久しぶりの再会を共に喜びあう。

神様、すごい。

事情をお話したら、早速、その足でアシュラム近辺の物件を一緒に回って下さることになり、結局、一番素敵だったマンションのオーナーとヒンディー語で交渉頂いた上に、必要な家財道具 ― 例えばエアコン、ガス、冷蔵庫に家具といったものの価格交渉にビルのオーナーが直々に同行してくださることになった。しかも、引越し日までには、家財道具を工事を含め全て完備させておく、という。

移動中には、プッタパルティの事情に精通しているその方が、日本での滞在経験を元に、インド人の気質や接し方、現地人からのサービスの利用方法、そしてプッタパルティに纏わるお話など、冗談を交えながら、日本人が戸惑う点を日印の対比を含めて教えてくださった。


都市中がコンピュータ化され無菌室のように清潔な日本から比べると、インドは、まだまだ発展途上国。この右も左も分からない外国で、独りで生活を始めるにあたって不安がなかったといえば、ウソになる。


想定外だった。こんな展開があってい良いのだろうか?
単にラッキーとか運が良かったとかで片付けられないような気がした。

本当に、ありがたい。


天を仰いで神に感謝したい気持ちになった。