インドの商売人

インド的なエピソードの紹介として
エアコンはあった方が良いよ…と薦められて購入し、他の家財道具は届いているのにエアコンだけ、待てど暮らせど予定の時間に届かない。次の日、指定時間になっても来ないので配送屋さんをショップまで迎えに行ったら(笑)、購入を交渉してくださったビルのオーナーも同じことを考えていたのか、そのショップの店先で会った。頼んだわけでもないのに、親切に気にかけてくれていてありがたい。


どの国でも同じだけど、インドの人は外国人を見たら、お金をたくさん持っていると思って、最初はより多くの利益をせしめようと交渉してくる。でも、その仮面の下には、信仰深く、慈悲深い心がみんなに宿っていて、一旦、お金を持っているからって散財しているわけでなく、あなたも一人の人間で、助けが必要だってことを見て悟ったら、ものすごく親身になって助けてくれるよ。要は、表層が剥がれ落ちる関係まで辿り着けるかにかかってるんだよね。

先日教わった言葉だ。


Don't worry - you are my friend − 気にかけてくれることにお礼を言うと、ビルのオーナーは笑顔で私にそう伝えた。

「あなたは私の友達」…私は、その言葉を言うまで結構時間がかかる。そもそも、一方的に私が「あなたは私の友達」といって相手に戸惑われたり煙たがられはしないかと思い、よっぽど確信している相手でない限り、そんな言葉は気が引けて言えない。。。

会ってすぐに、それもみんなに対してそう言えるようになれたら、どんなに素敵だろう。


それはさておき。
世の中には、現場に張り付いて作業進行を見届けないと一向に何も進まないことがたまに起こる。特に、双方の利害関係に著しいギャップがある場合はその傾向が顕著に現れる様な気がする。いくらこっちにとって大切で、当然遂行すべき…と思っていても、相手にとって何の価値もメリットもなければ、優先順位が違うから、作業の遅延は必至。


この場合、約束通りに顧客に商品を届けるという点に於いて、双方の期待にギャップがあるらしい。

初めに届いたのはサムソンの2トンのもの。
で、取り付ける電気屋さんが間違っているんじゃない?と疑問に思ってショップのオーナーに電話したところ、すぐに間違いということがわかり、届けたばかりの室内機と室外機を持って帰り、代わりに小さめの、LGという別のメーカーのエアコンを人力車に乗せて持ってきた。そうそう間違うことはないだろう…っと放っておいたものの、よくよく領収書を見てみると、ブランド名は、サムソン、しかも代金は、19000ルピーと書いていておそらく、2トンの方。合意していた値段より4000ルピーも高い。

私は、手配してくれていた大工さんに、トイレットペーパーホルダーの取り付けや目隠しのカーテンなど作業指示をしていた。インドのトイレ事情に明るい方にはピンと来るかと思うが、マニュアルウオシュレットを利用する彼らにとってトイレットペーパーホルダーなど、必要ない。一瞬、インドの風習に慣れようかと思ったが、そのこだわりを手放すには、すこし時間がかかると思う。

明らかに、エアコンが間違っていることに気付いたのは、室内器具の取り付けを終えた後。さて、ここで私はどのような行動をとったらいいのか、少し迷った。

A.おおらかに、深い愛を持って、これも神の御心ですから…いいよいいよ、といってメーカーの間違いや余分に支払ったことを気にせず、4000ルピー(およそ8千円)を水に流す。

B.断固受け入れず、購入商品と取り換えてもらう。

C.間違いはあることだからと、差額分だけ返してもらう。


今の私のレベルでは、Cといったところかな。ショップの人が何を求めてくるか、ある意味、期待が高まる。


スピリチャリティーをかじると、たまに物事の事象を深読みしすぎて迷路に突入することがある。プレマ(愛)をとるか、ダルマ(正義)をとるか、中庸をとるか…そして、理解が深まるにつれ、プレマだと思っていたことがダルマだったり、中庸だと思っていたことが、アダルマ(不正)だったり自分の中でも、語意が色々と入れ替わってきたりするから、切りの良いところで一旦やめないと、悶々と問うてばかりで実行できなくなってしまう。そういう意味でも、先人達の書いた本や、サイババが直々に書き下ろした著書を読むと、たまに、自分が全くポイントからずれたことで思い悩んでいたことに気付いて目から鱗が落ちるような驚きを感じる。


さまざまな教えに加えて、サイババは言う。

マナッスィエーカム ヴァチャッスィエーカム カルマンニェーカム マハートマナム、
マナッスヤンニャト ヴァチャッスヤンニャト カルマンヤンニャト ドゥラートマナム
(思いと言葉と行いが完全に一致している人は高貴な人であり、思いと言葉と行いが一致していない人は邪悪である)


…がんばります。。。