さいきん


結婚後、10月後半からチェンナイに新居を構えている私たちも、12月6日までは「ハネムーン」と称して、プッタパルティに居残り。今回は、私の母も渡印して卒業式に参列していたので三人で仲良く川の字になってアシュラム外のアパートで寝泊まりしていたけれど、出国前から「今度の巡礼ではどうしても、アシュラムの中で過ごしてサーダナをしたい」という母の希望で、何度も説得を試みたものの根負けした上、泣く泣く、サイババの降誕祭の翌々日、母を「シェッド」という倉庫のような大部屋に移動する手続きをした。

シェッドは、世界中から帰依者がパルティに来訪する祭事期に、2−4名用の一般宿泊棟やドミトリーという8人ぐらいでシェアする中部屋が満室の際、いわば最終段階になった時に解放される宿泊施設。だだっ広い倉庫のような一室に、所狭しとインド式マットレス(シングルベッドの2/3の大きさ)が敷き詰められている。

彼が、「通学中の7年間、両親でさえシェッドに泊らせたことがないのに、ましてや日本人のお義母さんをあんなところに泊らせるなんてできません」・・・・というと、「ある種の冒険みたいで、面白いじゃない・・・映画の世界を体験するみたいでワクワクするわ」という母。それに対して困り果てた表情で、「今さら冒険をする御年齢ではありません!」と繰り返す彼。「どうか私たちと一緒にお過ごしになるか、どうしても一人がよいと仰るのであれば、まともなホテルの一室を借りてください!」と伝えるよう急かす彼の言葉を聞きながら、独立心が旺盛な母の性分を識っている私は、双方の意見を訳すのを止め、彼に諦めるようジェスチャーをして母に「じゃ、数日間シェッドを体験して、感想聞かせてね」と言ってサッサと移動の用意をし始めた。

外国人用の宿泊登録オフィスがあるN8棟に着いても、何とか一般部屋に・・・と、試行錯誤する二人。『12月前なら三人揃えば、一般宿泊棟に滞在できる』と聞きつけ、それなら...!と、夫婦である私たちと母の合計3人で登録しようと試みたところ、夫婦同性の身分証明書を提示するか、婚姻届等の公的証明書を提示しないと、男女を一緒に泊らせることはできないという宿泊受付担当者。彼が在学中に取得したパスポートには、サティヤサイ大学寮の住所が印字されている。もちろん、配偶者欄の名前は空白になっていて、私のパスポートの名前も、まだ書き変えてはいない。

母にいきさつを伝えると、「もう遅いからシェッドに行って早く落ち付きたい」という声が返ってきた。時間は夜の8時過ぎ。私たちは母の着替えと寝袋の入った鞄を抱えながら、重い足を引きずってシェッドへと歩き始めた。暗い夜道の中、前を歩いて母を誘導しようとする二人が迷いそうになると、母が後ろから、こっちよ、と行き先を指図する。なんとまぁ、すでに場所を下見したというから、母の行動力には唖然とする。通路左右には、インド人用のシェッドが何棟も立ち並び、インド人帰依者達が楽しそうにお喋りに興じたりしていて出店こそないものの、縁日のような賑わいを見せていた。約10分ほどで、「DD1」という、アシュラムの外れにある二階建てのシェッドに到着。


「25日以降は段々人が減っていくと聞いていた」と囁く母の言う通り、シェッドに着くと、10人も満たない西洋人帰依者が薄暗い明りの下で読みものをしたり仮眠を摂ったりと、各々の時間を過ごしていた。宿泊年齢層は、25歳〜50歳ぐらい。今年で72歳を迎えた母に、「お母さん、ほんとにココで寝るの?今日はアパートで泊って、明日ドミトリーが空いたらそっちに引越するのは?」と聞くと、「ある西洋人帰依者の著書に、“シェッド”という宿舎に泊っていたエピソードが写真付きで紹介されていたのを見て、一度体験しないと・・・と思ってた」という答えが返ってきた。

「なるほど・・・」母の好奇心の根拠がみえて納得し、ホッと胸をなで下ろしながらも、シェッドに滞在している女性たちに、『三人揃えば一般宿舎に泊れる』ということを伝え、母は英語をカタコトしか話さないので『静寂は保障されている』・・・と交渉してみたものの、みんな、ココが気に入っていて、移動する気はないという。溜息をつきながら、「・・・お母さん、明日一般宿泊棟に引っ越す手続きしに来るから」と言い残し、彼と私はアシュラムを後にした。


そして翌日から、彼は本格的に受験勉強をし始めた。

インド人の向学心の強さは前々から聞いていたけれど、彼も同様、大学院で数学や情報科学修士号を取得した上に、CFAという証券アナリストの資格の習得を目指して寝ても覚めても本を開いている・・・と思えば、いきなり、口笛を吹いたりバジャンを歌いだしたりとかなり陽気。新婚といっても友達のノリが板についているせいか、私は、結婚後約半年は口を開かないという従順なインド人妻・・・というよりも、食事を作ったり科目を計画的に網羅できるようリストを作ったり・・・と、スワミのダルシャンを享受しながら、チェンナイに戻るまで、しばし気兼ねのない時を過ごしている。



日本人特製の顔文字入り(^_^) /計画表


ちなみに、今日のプッタパルティの気温は27度。とても過ごしやすいです。


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