チェンナイ・エキスプレス

3日の夜、6:45分発のチェンナイ行き特急に乗車するため、20分待たせたタクシーを急かしながら駅へと向かった。家を出たのは6時15分過ぎ。インドの電車に乗るのは、これが初めての体験。日本だと一本遅れても数時間したら他の便が来るけれど、ここからチェンナイには、週に一本、日曜日の夜の電車のみ。プラシャーンティニラヤム駅までは混んでいたら30分ぐらいかかると聞いていたから、気が焦った。

「大丈夫、かならずスワミがなんとかしてくださるから落ち着いて・・・」彼の言葉を聞いても列車に遅れたら帰るあてがない状況下で、そんなのんびりしたこと言うなんて・・・と思ってみるものの、祈るしか術がない。

三角にひきつりそうな両目を閉じて一息、深呼吸した。駅に着いたのは、6時40分。ギリギリ間に合った!っと思ったら、彼の先輩が通りすがりに、「電車、1時間遅れらしいよ」と一言。

「ね、スワミがなんとかしてくださったでしょ?」
「・・・。」
遅延の理由はあえて説明されず、結局2時間遅れの9時過ぎに出発。これが普通らしい・・・。あー、溜息。


いつもは飛行機で往復していたけれど、何かともの入りだし・・・と、電車移動に切り替えようと二人で相談。さっそくインド鉄道のオンライン予約サイトで、チケットを予約した。予約時には、SAIと入力するとアシュラムの最寄り駅、プラシャーンティニラヤム駅の名前が掲載されるので、行き先と乗車日、そしてチケットの種類と等数を選択する。週末にダルシャンを受ける参拝者の殆どがこの電車を利用するため、数週間前に予約がとれるのはラッキーらしい。どうしても・・・という場合は、「TATKAL」という特別料金を払って先行(間際)予約する方法もある。

プラシャーンティニラヤム駅のプラットフォームには、パルティ・サイババシルディ・サイババの大きな写真が飾られている。日曜日の夜なので、人であふれかえっていた。

『チェンナイ・エキスプレス』はチェンナイまで12時間の夜行列車。途中、バンガロールで一時停車する。今回予約が取れたのは「Tier2」という2段ベッドの2等席で、1等は1段、3等は3段ベッド・・・と分かりやすい。どの車両にだれが載っているかわかるように、各ボギー(車両)に乗客の氏名と年齢が張り出される。グループの代表者がIDを提示してチェックが済んだ後、シーツとブランケットが配られてくる。
このブランケット、毎回洗えるものではなく、前に利用した乗客がお手洗いに行った後ちゃんと手を洗っているか・・・とか衛生面が不確かなので、旅慣れた人はマイブランケットを持ち込むらしい。ACが効いた車内は多少、ユレがするものの、結構こじんまりとしていて悪くはなかった。


電源補給のコンセントとかもあるし・・・こういうところ、インドは気が利いてるなぁと思う。かなり長時間の移動が当たり前だからなのかもしれない。それに、睡眠中にカバンやスーツケースが盗まれないように一段目のベッド下にワイヤーが設備されていて、自転車用のロングワイヤとか、南京錠など、各自持参した鍵でくくりつけることができる。

快適快適・・・と思って寝ようとしていたら、彼の調子が良くない・・・。エアコンの風が直撃する上段で、体調が悪化したみたい。車内の作業員に温度を上げるように、と伝えに行ったら信じられない・・・という顔で帰ってきた。どしたの?と聞くと「AC席の温度設定には規定があって、それ以上に変更することはできない」と断られたとのこと。
どんな規定なの?と聞いたら、スタッフ用の「注意書き」を見せられたらしい。「AC車は、車外の気温より低めに保つこと。温度設定は、夏季:21−23℃、冬季:19−21℃」
「・・・冬の方が設定温度低いの!?」「・・・そうみたい。」「信じられない・・・」

結局、チェンナイに着いた頃は風邪をこじらせて肩で息をし始めた彼。「もう二度と、冬の電車には乗らない・・・」「えー、お金が・・・。」と心の声。列車はやはり、安い!この程度の居心地なら毎週でもパルティに来れる・・・と期待していたけど、しょんぼりしても、健康の方が大事。「そうだねぇ・・・」とあいずちを打つ。ちなみに、どれほど金額が違うか・・・といいますと、

飛行機(AIR)運賃(Fee)
飛行機代 (2人分)6000
タクシー代 (自宅→チェンナイ空港)300
タクシー代 (バンガロール空港→パルティ)1300
片道7600

鉄道(TRAIN)運賃(Fee)
電車代 (2人分)1744
タクシー代 (自宅→チェンナイ中央駅)300
タクシー代 (PN駅→プッタパルティ200
片道2244

・・・と、かなり、違う。
少量の荷物だとオートリキシャーを利用できて更に安くなり、電車だと毎週パルティに行ってダルシャンを受けられるところ、飛行機では月一の巡礼...ぐらいの予算になる。
うーん、チェンナイの中央駅に着いてから、早く彼の体調が戻りますように・・・と祈りつつ、インド鉄道にもなんとかしてもらいたいものだわ・・・とちらっと思う。 物事には、論理というものがあるハズで、 規則を盲目的に信じるなんて・・・と思ってみたものの、識字率99.8%の日本と、58%のインドを一緒にして考えるのは理不尽だなぁと思い、気分を害する方向に突っ走るのを思いとどまった。「考える力」を培う機会を平等に与えられている日本は、素晴らしい国だと思う。


チェンナイ中央駅の風景とマリナビーチのヤギ。ヤギのミルクを飲むため、漁師が飼っているらしい。


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