サイババへの手紙 〜 Part.3

ところで私達の結婚も、多くの信奉者と同様、サイ・ババへのお手紙によって最終決定をしている。

国際結婚なのに、恋愛感情よりも 「占いとサイババの示唆によって決めた」という所が一風ユニークな感じだけど、その時、彼から言われた言葉がとても印象に残っている。

「スワミに手紙を書くという行為はとても丁重に扱わなければいけません。もし、僕がこの手紙を書いてスワミがお受け取りになったら、それは神との約束になり、僕達側の都合で意思を撤回することはできません。だから、手紙を出す前に、本当に僕と結婚をしたいか、してもいいのか、もう一度よく考えてね。」

へー、スワミに手紙を書くっていうのは、そんなに凄い事なんだ。手紙を受け取って頂く機会に恵まれているのだから、妙に親近感が湧いて態度がぞんざいになったりしないのかな?と思っていた私は、スワミに対するひたむきな心の在りようとその真剣さに驚いた。

当時私には結婚に関して一つの願望があり、結婚に関しては、「もう、この祈りを貫こう」、と心に決めていた。そしてその祈りとは、「スワミ、どうか私が、いつ、誰と、結婚するか、スワミがお決めください。スワミは私の心を全てご存じな筈です。でも、いつ誰と結婚するかは全てあなたにお任せします。私は、あなたの御意思に従います。」

随分捨て身な祈りだと思うけど、その・・・私が「素敵だなぁ」と思う人は、なぜか病的な浮気性だったり、どう贔屓目に見ても道徳的に壊れていたり、どうやら私には男性を見る目が欠如していると薄々感じていた私は、自分の好みに対して全く、自信が無かった。そしてどれだけ素晴らしい相手と出会っても、相性というものがあるし、肉や魚を食べたいという人とは一緒に生活できない。おまけに信仰の対象が違ったりスピリチャリティに全く興味がない人と一緒になれば精神的にとっても苦悩するのは見えている…。
この際、幸せになる方法は、私のマインドが好む“嗜好”を優先して私が選ぶより、全てを御存知なスワミに選んで頂くしかない…と思っていた。そして、何があっても、スワミが示唆される相手以外とは結婚しない、と心に決めていた。


サーダナ(霊性修行)に身を投じて神の愛に浸りきるハズの聖地滞在が一変したのは、ある宝石との出会いだったのかもしれない。

6月に訪れたバンガロールの占い師に、「あと四カ月以内に結婚するでしょう」と突拍子もない啓示を受けた私は、エメラルドをしなさいというのお告げ通り、ジェムストーン(宝石の原石)の指輪を身に付けた。そしてその後、急展開で数種類の占い師の元を訪れる流れとなった。

先ず、プッタパルティの中心部で店を構えている非常に当たると有名なジョーティッシュ占星術師(以前ブログで紹介した方とは別の方)によると、たまたま私が代理で鑑定した友人こそが、私の前世の夫であり、ソウルメートであると、出た。そして、同年の9月6日までに両者が結婚に同意するとも・・・。

信じられない・・・という思いで占い好きの妹と共に次に向った先は、チェンナイ。
アガスティアの葉のナディリーダーには、「結婚相手を知っても決心するまで悩み続けるが、その相手はあなたのグルによって示唆されるだろう」、というお告げ。

その後、チェンナイの宝石商に紹介された別の数秘術師に見て貰い、ビザ更新の為に日本に帰国して四柱推命師に鑑定して貰うと、両者そろって「相性が良く、結婚することでお互いが向上できる相手」あると出ていた。 この時、既に8月後半。

しかし、占い師がなんと言おうとも、サイババが許可しないのであれば、元も子もない。
彼には将来があるし、カースト外の結婚を禁じるインド人。しかもそれぞれの母国を大切にし、社会に貢献することを重んじるスワミが、外国人とサティヤサイ大学の学生の結婚をお赦しになるなんて、あり得ないと思っていた。非日常な“お告げ”に舞い上がって情が移る前に、早いところ白黒はっきりさせておいた方がお互いの身の為・・・。

チェンナイにいる彼に対して私は、国際電話でこう告げた。

「占い師がなんと言おうとも、スワミが許可しないのであれば、単なる戯言…。最終的に私達が判断を仰ぐのはスワミだから、手紙を出してね。もし、スワミがお受け取りになったら、その後で、コトのいきさつを両親に報告するから。」


時は、9月1日。
もし、プッタパルティ占星術師のお告げが正しければ、タイムリミットまで、あと5日。

6日は日曜日だから、もし列車のチケットが確保できれば、週末に手紙を渡すことができる。何らかの形でそれが出来なかった場合・・・その時は、お告げが「間違っていた」だけのこと。情が移ったわけではないので特に心が痛むことはなく、この浮き立った話題は一件落着する。そうして再び、ダルシャン三昧の神への想いに浸る美しい日々が私の元へと戻ってくるだろう・・・。私はそう思って、静かに溜息をついた。


ところが次の日の朝、何度も携帯が鳴って、意気揚々とした声が電話口から聞こえてきた。なんでも、昨晩、サイババが夢に出てきて、満円の笑みで手紙を受け取られたそうな。
「うーん・・・スワミ、その手がありましたか・・・。」
それはそれは、素晴らしいけど、『夢に出てきた』という自己申告は、ともすれば妄想によって作り上げられたストーリーとも受け取られかねない。 ここで私は少しシミュレーションをしてみた。

「結婚を決めた理由は?」
「はい、彼の夢にサイババが出てきて結婚に関する手紙を受け取ったからです。」 
「そうですか、で、実際は?」
「手紙を書いたことも、受け取ってもらった事実もありません。彼の夢の中の出来事ですから。」
「・・・。」


うーん、私には普通の社会生活があるし、この展開はありえない。
こんなことを言ったら狂言者と思われるかも・・・! 次の瞬間、私は彼に伝えた。


「夢に出てきてくださったことは素敵だけど、周りの人や両親にそう説得することはできないから、やっぱりパルティに行って、実際に、スワミに手紙を出してね」


そうして彼は夜行列車のチケットを予約し(彼曰く、出発数日前に週末発着分のチェンナイ⇔プッタパルティ行きのチケットが取れるというのは奇跡的らしい)サイババの元へと出発した。


私よりスワミに近い彼の場合、どういった内容の手紙を書くのかしら?
やっぱり、感謝にあふれ、神に依存しすぎない言葉が、願いがかなった事を仮定した過去形の文章で綴られているのかしら?
翌日、私はその内容に驚くことになるとは露知らず、穏やかな気持ちで結果報告を待った。




サイババへの手紙 〜 Part.4に続く・・・。




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