プレマバンダム − 愛の絆 本編


ダルシャンラインに座り始めてから4時間ぐらい過ぎたころ、サイ・ババがご邸宅、ヤジュルマンディールからプールナチャンドラホールへと入場。


まず最初に、様々な富を象徴するプールナカンバム(Poornakumbham)を祝福して頂き、ヴェーダの吟唱が始まった。
【壺は母なる地球を象徴し、水は、命の泉、ココナッツは神我を表し、四方に広がるようにあしらわれたマンゴーの葉は人生を意味する】






ミニステージへと移動される途中、スワミは家族代表が差し出す薔薇の花をお受け取りになり、ケーキカットのあとには、サイ大学の卒業生が主催する様々な奉仕活動の説明を受け、それぞれを祝福された。



久しぶりの、スワミ!
私は息をのんで、スワミの姿をじっと目で追った。
時計はすでに夜の7時を回っていた。

スワミがステージの中央に到着され、ヴェーダの吟唱が終了した。


会場中が静まり返ったその時・・・


ゥオォンギャーッアァーッ!!!


スヤスヤと眠っていた赤ちゃんが突然、雄叫びをあげた。
しかも、私の膝の上で!
一瞬、目の前が真っ白になって卒倒しそうになった。


咄嗟に、今朝ミーティングで伝達された≪注意事項≫が頭に浮かんだ。
1.スワミの合図なしに、スワミとの接触は自粛すること。
2.手紙は強引に渡すのではなく、スワミが合図されたら、お渡しすること。
3.子どもが泣いたら慌てず静かに退出すること!


ど、どうしようっ!!

ここで泣かれたら今までの苦労が水の泡・・・。 夢にまで見たスワミとのご対面がこんな形で終焉を迎えるなんて!アセリながら娘をあやしていたら、周りからサッとうちわが出てきて、暑がっている娘に風を送ってくれた。「さぞかしみんな迷惑に思っているだろう」・・・と周りを見回すと、目があったアンティーは、「大丈夫?」っと労わるような視線を送ってくれた。 
周りの女性が発する、見守るような、温かい思いやりに私は感謝した。
あーなんて優しい人達! 
奪い合う必要がない場合、人はお互いに優しくなれる。やっぱり私達はサイファミリーなんだなぁ・・・という思いが込み上げた。


そして雄叫びを上げた娘は、再びパタッと眠りに入ってしまった。


あーなんて、お騒がせ!
後で仲の良い帰依者にその時の状況を話すと、「きっとスワミに御挨拶したんよ・・・」と、ひと言。周りの人も、「あなたはあやすのに必死で気付かなかったと思うけど、赤ちゃんの泣き声が上がった時、スワミがこちらの方をご覧になってたわよ・・・」との話。
そんなご挨拶の方法があるなんて! ホント、寿命が縮むわ・・・。
まったく、お母さんは大変である。



スワミの合図により、プログラムが開始した。
デヴォーショナルソングが三曲目に差し掛かろうとした時、プログラムは、家族の祝福タイムへと移行した。

一般的なダルシャンは、ファーストラインに座っている人が最も間近でサイババを謁見することができる。一方、後列席の人は、それこそ立見する大群… (殆どの場合、地方から来たインド人)の後ろに座ってしまった日には、とっても哀しい思いをすることもある。
だけどスワミとの再会を慈しむプレマバンダムの場合は、各列毎に敷かれたレッドカーペットの上をスワミが通り過ぎるので、結果的に、全員が間近でダルシャンを授かることができる形式になっている。

ダルシャンが始まり、スワミは前回のように、男性側から祝福されるだろう・・・と思っていたら、今回は先ず、女性側の方に来られた。(また娘が泣いてしまったらどうしよう!とヒヤヒヤしていた私は非常に有り難かった・・・。)


スワミが私達の方に向かってくると、義母がジェスチャーで、「娘をこっちに渡しなさい」、と言う。


ゆっくりと、そしてじっくりと、参列した家族の目を見つめて祝福を与えるスワミ。
あ!・・・私はあることに気付いた。「このエネルギーは、ダルシャンホールでスワミが、APガール(サイ大学のアナンタプール女子校生)を祝福されるエネルギーと同じだ!」

男性の肉体をまとっているスワミは、古くからインドに伝わる男女の規律を遵守されるため、滅多と女子学生とは交流なさらない。「スワミは男子生徒ばかり優遇されるから・・・」という落胆の声も何度か聞いたことがある。でも、それは、「ポーズ」だということを私は知っている・・・というよりも以前、それを知る機会を頂いたことがある。


ダルシャンラインにある、スチューデントブロック(女子卒業生席)の真横に座っていたある朝。
一般参拝者が少なかったので、偶然、前後をAPガールに挟まれる状態になった。
アールティ終了後、ゆっくりとお帰りになるスワミは、スチューデントブロック(卒業生席)に差し掛かると急に激しく目線を動かされ、そこに座っている最後列の女生徒まで、一人残らずしっかりと、祝福されていた。 
そのエネルギー層のブアツイこと!

一般帰依者の前を通過する際、スワミはファーストラインやセカンドラインの人々を見つめてスーッと通り過ぎることが多い。スワミの遍在性を知らない人たちは、周りの人に迷惑をかけても自分さえ見えれば(見つめてもらえば)いいという...自制心なんて吹っ飛び、スワミの視界に入ろうと必死で、顔や身体を上下左右に動かす・・・まるで、餌に群がるお猿さんみたいに・・・! おっと、こりゃ失礼(苦笑)。

だけど生徒の前を通り過ぎる際、スワミは確実に、全員が祝福を受け取ることができるよう、スワミの方が、視線をお動かしになっていた。あの時、表面的には、女生徒達に距離を置かれていても、やはり『生徒』達はスワミにとって特別なんだなぁ・・・と、少し温かい想いに満たされたのを思い出した。


そしてプレマバンダムで注がれたエネルギーは、その時と同じものだった。


スワミがお近くに来られた際、私は(日本人らしく) 、「スワミの合図なしに、こちらからアプローチをしてはいけません」という≪注意事項≫を守って、お行儀よく、スワミの御姿を目で追っていた。

そしてスワミが目の前をゆっくりと通り過ぎ、同じく義母の前を通り過ぎようとされた瞬間、私は目を疑った。
義母が、娘をスワミの目の前に持ち上げて、ヒンディー語で何か話しかけている!スワミに視線を注いで頂くだけで充分・・・と思っていた私は、ギョッとして目が見開いた。・・・まるで、びっくり人形のように!
義母が取った予想外の行動に仰天して固まっていた私の目の前で、スワミの御手がスッと伸び、娘の頭をなでて祝福された。

どうも私はスワミが近くに来られると、畏怖の念に硬直してしまうのだと思う・・・。遠くから見ている段階では、『ママ、ママ、アイラブユー、ママ!』と、真の母を乞い慕うような感じで、心の小宇宙に響き渡るぐらい大きな声で叫び続けているのに・・・。


その後スワミは全員を祝福され、アーラティ(献火)を受け取られた後に、サイクルワントホールの方へと移動された。
その間、三十分。 
その三十分のために渡印した、と言っても過言ではない、貴重な時間だった。


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これは、ダルシャンに関するサイババの言葉。

「私が貴方達の間を歩くときに生じる変化を過小評価してはなりません。私が目にするものは全て、変容・変質を遂げます。(中略)私が視線を注ぐ全対象が、確実に活性化され、改良されるのです。

私があなた方の間を歩き回ることは、最高位の天界に住む神々が、その恩恵に浴することを切望したほどの幸運なのです。あなた方はその恩恵を、毎日ここで受けているのです。その幸運に感謝しなさい。このようにしてあなた方が受けている様々な祝福は、それぞれ完全なタイミングで現れます。

しかし、それと同時に、多くを与えられた人々からは多くのものが要求される、ということも忘れてはなりません。」    Let Me Show Love, Pg 101  
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翌日、プレマバンダムのハイライトは土曜日で終わり・・・と思っていた私達の予想は外れ、スワミは一カ月ぶりにモーニングダルシャンに姿をお見せになった。

その後、スワミを乗せた車はヴィッディヤギリスタジアム(ヒルビュースタジアムの別名)へと向かい、丘の上に到着すると、スワミがハヌマーン像のふもとで降車され、像の周りをお歩きになったとか・・・。

そして驚くべきことに、その日から「スワミのダルシャンは週に三回のみ」という過去数カ月続いたスケジュールが覆され、今日に至るまでスワミは毎日、ダルシャンにお出になるようになった。



日曜日の全体ミーティングでは、スワミからのメッセージや参加者の体験談、奉仕活動の案内が行われた。今回参加した卒業生は、約200人。タミルナードゥ州には500人ぐらいの卒業生が在住しているというから半分弱の人達が参加したことになる。 

左の写真 右の写真
聞き入る人達 奉仕活動の説明
聞き入る私達 功労者の紹介
記念品のプラサード スカーフのバッジ

体験談を聞いていると、スワミの学生たちが卒業後、スワミの使命の効果的なインストゥルメントとなる為には、家族の理解と協力が大切なんだなぁとつくづく思った。これはどの家庭にでも言えることだけど、精神的なサポートがあるだけで、随分と違う。あ、だからスワミは最近、学生との同窓会、「プレマバンダムには直近の家族も参加させるように・・・」と指示なさったのかも・・・。


ミーティングの最後には、一人の卒業生がパネルを持って立ちあがった。
セヴァ(奉仕活動)の案内だった。

先ずは、今回のプレマバンダムで、タミルナードゥ州の卒業生が、三ヶ月に一度、メディカルキャンプを主催していることをスワミに報告し、祝福を授かったとの報告。
チェンナイ郊外にあるろうあ学校の紹介から始まり、障害者に対して政府の補助が充分になされていないこと、障害を抱える子どもの親の多くは文盲で、力仕事ができる子どもを必要な農家が多い。そういった親の理解の欠如により、障害を抱えた多くの子供たちが、孤立無援の状態にあることなど、奉仕が必要な事実と背景を織り交ぜながら、熱意をこめて淡々と語るスワミの学生。
セヴァの案内は、スワミの講話を引用してメッセージを終了した。

「94年から95年ごろ、僕がМBAを専攻していた時、スワミは毎日のように御講話を授けてくださいました。そのなかでとても印象的な言葉があります。ある日スワミは参拝者に向かって仰いました。 『あなたがたはみな、何らかの望みを抱えてここを訪れます。そしてそれが満たされると、私の元を去って行くのです。』 皆さん、スワミは私達の様々な願いを叶え、祝福をお与えくださいます。私達はその祝福を同胞と分かち合わなければなりません!スワミの仰ったような一時的な参拝者にならないよう、努めましょう!メディカルキャンプは、来週末、開催されます。都合の付く方は、ぜひ、ご参加ください。」


翌週、セヴァに参加した彼から写メールが送られてきた。

セヴァの参加者が羽織っていたスカーフには、『プレマバンダム(Prema Bandham)−愛の絆』 と書かれてあった。



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