ジョーティッシュ占星術 その2

MGロードにある中国人の歯医者さんに検診してもらったら、再度予約が必要だという。私がアジア系のせいか、中国人のお医者さんと聞くとちょっと安心する。箸を使うから、手が器用に違いないといった単純な理由。実際には、治療の説明より、ドクターが知人としていた話の内容の方に興味が湧いた。ドクターは、英語を話すから生活に不便はしていないけれど、もし第三ヶ国語を学ぶのであれば、ヒンディー語サンスクリット語が良いね、という会話から、サンスクリット語を学ぶには、今でも日常会話として話している特殊な場所、例えばシュリンゲリーとかに行かないと、習得は無理だね、という会話に移っていた。

「?!...すみません!」 私は診察台から、二人の話を遮った。
「今でも、サンスクリットを日常会話として使用している地域が存在するのですか?」 ドクターの代わりに知人が答えた。
「うん、インドには数か所かそういった地域が残っているんだよ」。
へー!行ってみたーい! で、少し滞在してみたーい!。。。歯医者さんの怖い診察台の上で、少しだけ、心がバラ色になった。
「もう一度言ってください。何という地名ですか?」 SHRINGERI


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歯医者の次に向かった先は、家族ぐるみで信奉している、ファミリーグル。なんでも、新車を見せに行くらしい。 Family Guru というのは聞きなれない言葉だった。運勢のFamily Doctor(家庭医)に当たり、インドでは各家庭が信奉しているグルに、人生の大切な節目には、必ずアドバイスを仰ぎに行くという。
科学技術や情報網が発達している日本や欧米の先進国では、占いというと、非化学的な迷信のようにとらえる人の方が多いと思う。知人の父方は某大手銀行の重役を務めていて、数日間接しただけでも、決して単なる迷信に人生を左右されるような方ではないということを感じ取ることができる。息子さんや知人のご主人は、世界的なIT企業の中間管理職として勤務していて、先進国に近い感覚で日々の業務を遂行している。
そんな一家がファミリーグルとして信頼を寄せる人物に、私も少なからず興味が湧いた。そもそも、なぜ占星術師に車を見せに行くんだろう。。。ラッキーカラーとかも占ってもらったのかしら?といった子供っぽい疑問も浮かんだ(後で聞くと、このファミリーグルを信奉している某日系車会社の Managing Director を紹介してもらったおかげで、予定よりも早めに納入してくれたしい)。
通常、ファミリーグルは、占星術のみに特化しているけれど、この方は、某寺院の僧侶を務めていたこともあり、儀礼なども執り行ってくれるらしい。しばらく、現地語のカンナダ語で談笑が続いたあと、突然英語が聞こえた。

Would you like him to make your chart? ホロスコープを作ってみる? 突然のフリだったので不意をつかれながらも、 Oh, Sure, of course! と笑顔で返答した。 生年月日と誕生時間を書いている最中から、その方は鑑定を始めた。

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 「You are a Jupitar. Very spiritual person. あなたには木星が入っている。とてもスピリチャル」 現地語で、星の並びを言い始め、実際に鑑定書を参照してホロスコープを作ったら、ほぼ当たっていたらしい。以前鑑定して頂いたラーマナンド・シン師の手法との違いは、出生データを見る前から鑑定を始めたこと、誕生時間を日本時間に逆算せずにチャートを作ったこと(少なくとも、それは私には伝わっていない)、の2点。この方も、手相を参照する。


 「あなたは、火曜日生まれ?」 いいえ、木曜日生まれです。 ? 「・・・そうかそうか、その通り、木曜日生まれだ。 言った通り、木星が入ってる。」


◎ 「あなたは、全員が幸せでないと幸せを感じない性質だ」 そこまで崇高な思いを抱いて生きてはいませんが、不幸な人や虐げられた人を見ると心が痛んでとっても気になり、何とかしたいと思うことは、あります。心の奥底で、万人が幸せになるシステムが絶対に存在するはず、と本気で信じている部分があるのは確かだけど、各場面でノブレス・オブリージュを怠っている上の立場の人を見ると、軽蔑に似た冷たい心を向けてしまう難癖があるのも無視できない。これは、自分でも間違っていると痛感していて・・・すべてを愛するにはまだまだ先は長い・・・(溜息)。


  「目が、悪いんだね」 はい、小学校のころから視力が低下し、渡印前に、レーシック手術をうけてきました。 「そうですか」

◎  「四ヶ月以内に、結婚するでしょう。結婚相手は、政府関係(Government)の機関で、国際的な業務に携わっている。あなたと同じく、とてもスピリチャルで、目に問題を抱えていて、少し髪の毛が薄いかもしれない。」 四ヶ月ですか!? 「そう、そういう人は周りにいますか?」 「いいえ、そんな人は知りません。 相手は、どの国の人ですか?」 「国籍は出ていないけれど、出会うとしても、ここ、インドで出会うでしょう。結婚後は、1−2年以内に子どもを産みなさい。そうでなければ、問題が起こる可能性がある」 


◎ 「母君は、どんな方ですか?」 真面目で、使命感が強い女性です。 「そうか、あなたは、母方の性質をそっくり、継承している」 これについては、家族全員が苦笑しながら頷くと思う。


 「母方の家族に、兄弟がいるでしょう。彼らは不自然な死に方をされませんでしたか?自然に病院で亡くなったりはせず、失踪とか・・・?」 失踪はしませんでしたが、二人とも、ある日突然、心臓停止で他界しています。母によれば、祖父は戦時中、軍隊に貢献する職務に就いていたため、なんらかの因果があるかもしれないという話を耳にしたことがある。


 「あなたには、生来、リーダー格の性質が備わっている。どこにいってもそういった役割が回ってきたはずです」 そうだったかな? ただ、思考としては、いつもグループ全体や関係者全員のことを視野に入れる傾向があります。もし、母の性質を受け継いでいるとすれば、母は独身時代、某大手料理学校の近畿圏の校長を連任していたので、リーダーと言えば、そうかもしれません。


 「記憶力は、よくないね。銀行の暗証番号とか、大切なことも忘れがちだから、メモを取るように」 ・・・この方はなんでそんなことを知っているのだろう?バンガロールに来る前日、暗証番号を忘れたから新規申請の封書を郵送してきたばかりだった。記憶力が悪い、というのは当たってる。天然ボケ、というのも記憶力の悪さに入るのかしら?私は、結構、肝心なところが抜けていて、いろんな方に迷惑をかけて冷汗をかくことも多々ある・・・。


 「あなたは、スピリチャリティーに於いて何を目指していますか?解脱ですか?」  は・・・?唐突の質問だったので、戸惑ってしまった。 えー、スピリチャリティに目覚めた当初は、解脱を目指していましたが、多少経験を積み、いろんな方と交流した結果、今は何となく、解脱は奉仕を捧げ続けた末に、神様が恩寵として下さるものだと思っています。解脱を目指す過程で霊性のエゴが増幅してしまい、利己的で被害妄想的な偏屈になっていってしまう人もいる。霊的スキルと人格の卓越性は決して比例しないという悲しい現実を飲み込んだ時、やはり、人格者であること、そして他者に貢献することが、体を与えられた目的なんじゃないかと思うようになった。
「そうですか。あなたは今生で、解脱までは至りませんが、その手前まで到達するでしょう。あなたは、グルになり人々を霊性へと導きます。」
 ・・・、内容を咀嚼するのに時間がかかった。 どういうことですか? 「あなたはインドに、単なる観光者として来たのではありません。確固たる目的があって、来たはずです。」 うーん、それは思い当たらない。スワミの近くにいること、そして説得されてきたことぐらいしか、思い浮かばなかった。 「神御自身があなたを呼びよせ、あなたは、必要なことをここですべて学び、必要なスキルを習得したのち、助けを必要としている人々を導くために外国へ行くでしょう。人々はグルとしてあなたのアドバイスを求めにやって来きます。あなたは、ヨーロッパの各国を訪れ、中近東にも行くでしょう。アメリカ以外の国に行き、日本にも、行くことはないでしょう。」 ・・・ 。


 「友達は、少ないでしょう」 その通りです。孤独を好みがちで、正直、何を以って友というのか、わかりません。でも、人は好きです。


 「一見幸せそうに見えるけれど、心の奥底では、世界中が幸せにならないとハッピーにはなれない性質だ。そう言った意味でもグルは性にあっている。」 もし、結婚するとして、主人であるべき夫を差し置いて妻がグルになるのであれば、一悶着は免れられないような気がする。「すみません、その、グル、というのは、私と夫がパートナーとなって二人で、グルになる、ということでしょうか?」 陰りがちの微笑を浮かべて、その方が断言した。「あなたが、グルになる」 。 ・・・絶句。これ以上、聞くのはやめておいた方が良さそうだったので、話題を変えた。


 結婚生活に於いてのアドバイスはありますか? 「Never argue with your husband - 絶対に、夫と言い合いしないこと」 何故ですか? と聞くと、沈黙が帰ってきた。そっか、インドに於いては、それは聞くまでもないことなんだった・・・。


◎ 手相を見せてみなさい・・・「音楽をやっていたね?」・・・! 知人が答えた。 「ジャズ、歌ってたよね?」 そう、私は以前、見習いでジャズのクラブ歌手をしていたことがある。もともと、音感は悪いほうではなく、音楽に対しては相当な思いれがある。なぜかわからないけど、どうしても27歳のうちにそれを経験しておかないと、絶対に後悔する気がしていた。オーディションを受け、掛け持ちで2ステージずつ、練習中の、そしてリクエストが入る曲を歌う。そして数カ月のち、私は生来の歌い手ではないことに気付いた。ジャズやポップスといえば、恋や恋愛を題材とする曲がほとんどで、同じ歌を何度も歌うことに、飽きを感じてしまった。歌手の人々は、本当に、えらいなぁと思う。何千回も歌っている曲を常に、初めて歌うような新鮮さと思いを保ちながらパフォーマンスするなんて、すごいことだと思う。 「音楽は、続けなさい」 バジャンでいいですか?」 「バジャンか、そう、バジャンがいいでしょう」


◎ 良い色は何色ですか? 「白、黄色、赤がよい。もし、黒を着たいのであれば、土曜日に限定すること。」 


 良い宝石はどれですか「エメラルドが良いでしょう。記憶に良い作用を与える。」


◎ 「最新のものではなく、古いものを手にするようにしなさい。」


 ◎「物質的な豊かさよりも精神的な深みを追及したほうがよい」


 特別に信奉したらよい神様や、どこか、参拝した方が良い神社はありますか? SHRINGERI に、サラスワティー女神を祀っている神社があるから、そこを参拝しなさい。」 シュリンゲリー? どこかで聞いたことがある・・・、あ、そうだ! さっき、歯医者さんで聞いた土地だ! 思わぬ偶然に、一瞬、知人と顔を見合わせた。


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一つのデータに基いて、これほどまで違う鑑定内容が出たことに驚きを感じ、どちらの鑑定(過去・現在の状況)も、事実と相違していなかったことが、非常に興味深かった。鑑定者の人格によって、どの部分を啓示するか、どう読み取るかといった違いが生じるものの、占星術は、基本的には間違っていないのかも、というのが感想。

後日談になるけれど、先日、パルティで鑑定してもらったラーマナンド・シン師に家族の鑑定に伺った際、「あの時、友人が同行されていたので言えなかったけれど、あなたのチャートで誕生した人は、9割の確率で36歳までに他界してもおかしくない。」と告げられた。10%セントの生存率か・・・どういうことかと聞いてみると、「マイナスの時期と鑑定された2つの時期に、陳情ではない心の傷を負って精神病院に入るか、自ら死を選ぶか迫られる筈だった」 、と告げられた。 正直、なぜこの人が生きているんだろうと興味を持って調べてみると、火星と太陽が好位置にあった為、絶望の後に必ず、新しい世界観、考え方を示唆してくれる誰かが現れた筈だ」、という答えが返ってきた。
なんてフランクな方なんだろう、と思うと同時に、ちょっと、占星術を見直した。
本音を言うと、前回の鑑定であまりにも当たり障りのないことばかりを告げられたので、的中率には驚いていたものの、「あ、わかるとしてもそこまでなんだ」、と過小評価していた。なぜなら、金運こそ良かったものの、幼稚園児の時に起こった交通事故を含めて命の危険にさらされたことが幾度とあり、軽めに述べても決して平穏な人生ではなかったから。そして、占星術師の述べる通り、本当に負けそうになった時、必ず、どこからか助けが現れた。まったく、運が悪いのか、良いのか、どっちかわからないような人生。
あなたは前世で政治的リーダーの立場にいた。その時に下した指令が国民の命を落とすに至ってしまった。それ故、人生の前半はその償いをする時期だった。でも、36歳まで生き延びたから、これからは大丈夫!」とほっふぉっふぉという感じの笑顔で軽く勇気付けられた。 「真にスピリチャルな相手と結婚すれば、心から大切にしてくれて、良い人生を送ることができる、もし、世俗的な人と結婚したら、相手はあなたを阻害し、惨めで孤独な後半生を送るだろう」と言われた。

いやーそうですか。なんとも・・・。そんな大それた器ではないとは思うけど、社会と関わっていたり、人の役に立つために生産性のあることに従事しなければ、生きている価値がないのではないか?といった思いに駆られることがある。時々、その渇望感が湧き上がる過程を不思議に思っていた。

ま、鑑定内容は別にして、感想として、腕の良い占星術師とは仲良くなるに限る・・・といった感じ。こんなに豊富な情報を持ちながらも、開示しないこともできるから。ちなみに私は、この方の後継者として占星術を学ばないか?あなたの運と適性があれば、一財産入ってくるよ、と冗談めかして聞かれたことがあるけれど、もし(往生際悪いけど)、私の適性がスピリチャリティーにあるとすれば、今、学びたいなぁと思うのは、ヴェーダの詠唱。
ヴェーダは唱えるだけで良いヴァイブレーションを発して空気を浄化するセヴァになるし、他のものに比べて、音を正しく発音することに集中すればよいので、如何なる精神状態においても左右されることがないから、一生続けられるし・・・♪ きわめて単純な考えが発端ですが、最近ヴェーダを学び始めたので、そのブログも追ってアップしていきます。

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