インドのお家

プッタパルティから一般的なマンションに引越してきて(こちらでは集合住宅の一室をフラットという)一つ気になっていたのが、家じゅうのドアに「カギ」がついていること。玄関にあれば十分なハズなのに、なぜ家の中のドアすべてに(しかもトイレにも)カギが備わっているのか、しばらくのあいだ不思議だった。

その謎が解けたのは、結婚した際、知人からいただいた タゴール暎子さんの著書、「 嫁してインドに生きる 」のとある章を読んでいたとき。


インドの家には使用人を含む多くの「外部者」が出入りするため、安全策として家じゅうのドアに鍵を付けているらしく、これには、フと魔がさして罪を犯すことを未然に防ぐ... という他者への配慮(悪いカルマを作らないように)といった意味も含まれているらしい。それにしても、冷蔵庫にまで鍵がついている・・・。野菜や調味料みたいな、「金目のもの」以外のアイテムを盗もうとする人がいるのかな?と思ったりするものの、用心にこしたことはないらしい。

一般的なインドのイメージとして物価が安いことが上げられるけれど、実際に生活してみると、全てが揃って激安、ということではなく、1.下層カーストの労働賃金が安い、2.(果物のような嗜好品以外の)食料品やスパイスが安い、3.電化製品が微妙に安い・・・ぐらいで、日本と同じクオリティのアイテムを求める場合は、ある程度の金額を用意することが必要だと思う。

ステンレス以外の食器類や紙製品は、比較的高い部類に入るし、プラスティック製品以外の、ちょっとおしゃれな家具や衣類、布製品なども日本より割高な感じがする。インドは筋金入りの階級社会なので、それぞれの懐事情に合わせて商品の価格・クオリティが不均一に、店頭に並んでいる。不均一、というか真ん中がないというか...。例えば生産能力(輸入・仕入れ能力?)が高い日本だと、100円ショップで(インドからすれば)かなり便利でしっかりとしたアイテムを手にすることができるけど、インドで同じものを買おうとすると輸入物になることが多く、少なくとも2〜3倍以上の値段を出す感覚になる。

例えば、箒(ほうき)・Broom。
よく店頭で山積みされている「ほうき」は、超自然素材の細長い枝のような葉っぱを一つにとめたもので、おそらく...国内製。 昔は、エニシダ をまとめて箒にしていたそうだから、ひょっとしてインドでは今でもその製法が続いているのかも。
コレ、掃除するたびに「ほうき」についている葉屑や実が落ちてきて、掃除しているのか汚しているのかわからない・・・という代物。値段は確か50ルピーぐらいと安い。それにかわり、効率のよいナイロン製の「ほうき」は、100ルピーを超える。


中流階級の一般家庭の主婦は、食事を作ることが大きなタスクで、あとの家事・・・例えばキッチンや礼拝堂などの「聖域」的な部屋以外の掃除や衣類の洗濯は、下層カーストの使用人を月契約で雇っているらしい。床掃除は毎日一回、掃き掃除と拭き掃除をする女の人が家にやってきて(夫不在の間、基本的に主婦は家に男性を入れてはいけない)、月額500ルピー(日本円で約1000円)。食器洗い、洗濯も同様・・・。以前、上司が頼んでいたダスキンメリーメイドサービスだと一回2時間で1万円ぐらいすると言っていたから、インドの労働賃金の安さに目を丸くする。

それで、彼女たちは生活できるの?と聞いたところ、顧客を何人も掛け持ちしているし、フラットの共同エリアの掃除も請けているから大丈夫・・・らしい。そういえば、知人の家には住込みで使用人が働いていた。「サーヴァント、使用人」と聞くだけで、それは差別用語じゃないか・・・と、心の中でドキッとする感覚や、「使用人を雇う」なんて身分違いな・・・!と思う感覚は「身分の違い」を知らずに育った一般的な日本人故の違和感なのかもしれない。



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