収穫祭と正月

14日は ポンガルというタミル圏のお祭り。北インドなど他の地域では、マカラサンクランティ という名称で農家の人々が祝う収穫祭。日本で農家と聞くとごく少数だけど、人口の6割(6億人ほど)が農業に携わっているインドでは、国をあげてお祝いをする。この日はみんな各家庭の玄関先に、2メートルぐらいあるサトウキビを飾り、多様な色彩で吉兆を呼び込むランゴリという砂絵を玄関先に描いて祝う。

特にタミル歴の正月にあたるこの四日間、チェンナイでは多くのお店が閉店となる。通常、既婚者は女性側の実家に行って、(夫に対して)たくさんのごちそうがふるまわれるらしく、親戚や家族の家で祝うので、インドの市街地はガラ空き。。。この機会を利用して、普段は数時間待ちは当たり前・・・という地元で有名なお寺巡りをすることにした。

案内人は、信仰深いタミル人夫婦。
この御夫婦は、抱擁するダルシャンで有名なアンマ の帰依者。チェンナイのランドマーク、カパレーシュワラ寺院で挙げた結婚式をきっかけに知り合った後、奥さまの亡き弟さんの命日が彼の誕生日と同じ...ということがご縁で、何かと親切にアドバイスをくださるようになった。この御夫婦のお兄さんはホワイトフィールドに住んでいるサイババの帰依者。生まれた時から神々に囲まれて暮らしているインド人は、グルや宗教によってさほど人を判断しなさそうなので、そういうところ、生活しやすいなぁと思う。


まずはじめに案内されたのは、西チェンナイのモガッペル(Mogappair)地区にあるサンタナシュリニヴァーサペルマル寺院(Sri Santhana Srinivasa Perumal Temple)。およそ650年前に建造されたという子宝寺で、この御夫婦も10年間子どもができなかったけれどここへの参拝を続けて2人の息子さんに恵まれたエピソードを説明してくれた。インドでは有名なティルパティーにあるヴェンカテーシュワラ寺院の姉妹的な存在らしい。

最近、アンドラプラデーシュ州を2つに分裂しようとする騒動が続いていて交通規制があるため、ヴェンカテーシュワラ寺院まで行けない人々も、こちらの方に参拝するとのこと。他のヒンディー系寺院と同じく、ここには主神のほか、ガネ―シャ神、スッブラマニヤン神、ハヌマーン神、ラクシュミー神を祀るが設置されている。

インドのヒンディー教系のお寺は殆ど、ヴィシュヌ系とシヴァ系に分れていて、礼拝するタイミングがそれぞれ違うのよ...、と教わった。維持と繁栄を授けるヴィシュヌ神系の寺院では、「常に神と共にありますように」という祈りを込めて参拝する前に礼拝。変わって解脱を授けるシヴァ系の寺院では「神と一つになれますように」という祈りを込めて、参拝後に礼拝する...。
ということで、この寺院では、参拝する前に礼拝を捧げた。丁寧にも祈りを捧げる方角が地面の石に彫りこまれている。最後にプラサードとして生のトゥラシー(バジル)の葉っぱを手のひらの上に乗せてくれた。もらったらその場で食べるのが流儀らしい。

ここで、一旦家に帰って昼食の時間。
今日はポンガルということで、食事をする前に屋上に直行。太陽神に食事を捧げるプージャをしてからこの一年のご加護を願い、スーリャナマスカールをした後にアルティーを捧げる。

プージャ(儀礼)とアルティ(献火)の違いはなんですか?と聞いたところ、神様を呼び寄せて供物を捧げ、ご加護を祈願するのがプージャ、プージャが終わり、最後に神と一緒になれますようにという祈りを込めながら純粋に神を讃える儀式をアルティと言うのよ・・・と教えてくれた。こういったインドのしきたりは何もかも初めてだから、とても興味深い。あいにく・・・カメラのメモリカードを忘れたのでここの写真はなし...。


二番目に向かったのは、かなり郊外の、タマライパッカム地区(Tamaraipakam)にあるサルヴェーシュワラ・ディヤーナ・ニラヤム(Sarveshwara Dhyana Nilayam)というシヴァ寺院。ドーム型のシヴァリンガムの中にクリスタルのシヴァリンガムが奉納されていて、人間が一呼吸する間に、精妙なクリスタルは二百回呼吸しているということで、その分(およそ200倍)御利益があるらしい。 ここにはアシュラムが併設されていて、養老ホームも兼ねているらしい。

新年なのでお金を支払ってプージャしてもらった。こういった寺院でプージャをしてもらう時には、自分の名前(私の場合はヒンディー教徒に改宗しているので、ヒンディー名のジャヤ・ラクシュミー)と、ナクシャトラ(星宿)を伝える必要がある。結婚式とかにも必要なので、インドで結婚式を・・・と思っていらっしゃる方は事前に占星術師に鑑定してもらって覚えておくと何かと便利。
プージャが終わると、その場でビヴ―ティ(神聖灰)に黄色と赤のクムクム(黄色のターメリックや赤いサフランを粉状にしたもの)、プージャに使った割れたココナッツと小さい生花のガーランドが入った紙包みをくれた。


三番目に向かったのは、満月の夜に参拝すると不思議な力が寺院内の草木に降りてきてあらゆる病気が治るというアラマ・テーシュワラ寺院(Alama Theswarar Temple)。ものすごく外れにある野原にポツンと建っている寺院で、ガネ―シャ神やナンディー像がとても大きくて肉感的なスタイルが特徴的。このお寺には聖者アガスティアの偶像も祀ってあった。

そして最後、四番目に向かったのは、ヴィルガンバッカムにある(Virugambakkam)アンマのチェンナイアシュラム。本当は14日と15日、アンマがチェンナイに来訪してダルシャンを授ける筈だったけど、急きょ延期となったらしい。


1月15日は、金日蝕の日。日蝕が起こる時間帯(この日は午前11時30分から午後3時30分まで)、殆どのヒンディー教系寺院は門を閉め(闇の化身- Layakaraという名を持つシヴァ神系の寺院を除く)、多くのヒンディー教徒は絶食をして太陽を避けるように屋内で不活動に過ごす。

彼の会社の社員も、日蝕ということで半数は会社を欠席していたらしい。。。。うーん、知っていれば木曜日からプッタパルティに巡礼に行っていたのに・・・(涙)。聖者の行動は一般の私たちには計り知れないけれど、インドでは21世紀の今日でも多くの人々が太古の教えに沿って生活していることがとても新鮮に感じる。

因みに私も、出社前、戸を閉めながら「今日は洗濯もしないで外に出ないでね、あと、体に悪いから日蝕中は食事をしないでね」という彼からの言いつけを守って静かに過ごした。不思議だったのは、11時30分ごろ、太陽に一気に雲がかかったような陰りを感じ、あたりがほんの少し、薄暗くなった。その後、3時25分頃、ガラッとまたいつも通りの強い日差しが戻ったのを部屋の中から感じたこと。日蝕を体感したのはこれがはじめてかも。


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