インドで入籍 (後半)


4.チェンナイに戻った後、地元の知人(タミル人夫婦)に婚姻登録の代理をお願いする・・・が、またもや役人の手強さに唖然。「数回足を運んでも婚姻届を受領してくれない」、と半分泣きが入った知人から電話が入る。
なにやら、「インド人からは大した額の賄賂を取れないので、こんなときしか儲ける機会がない。日本人なら、それぐらい払えるでしょう」という理由で、「とりあえず1ラックルピー(20万円)用意すれば・・・」という行政官の返答にあきれてしまった。まったく、インドという国は・・・。オバマ大統領だったら、恥を知れ、と仰っていたに違いない(笑)。


5.こうなったら先人に倣うべし・・・と、インド人と結婚された方々のブログをネットで検索し、「誠実で良い弁護士が決め手!」と知って再度、弁護士を探す。 国際結婚登録の経験があるという弁護士に連絡し、経緯を話すと、「大変だったねぇ…、事務所の所長さんと婚姻届の担当者にコネがあるから、絶対大丈夫。もう心配ないよ。」と仰ってくださった。
そして、2月3日の節分の日に晴れて、申請完了。結局、登録申請費用、100ルピー。 弁護料、8000ルピーで、作業が完了した。レジスターオフィス(登録事務所)の所長さんが帰依者のためか、壁や机の上にシルディサイババの写真や偶像が飾ってあった。


こういった紆余曲折を回想してみると、もしかして私達は、なんらかの過去のカルマによって節分を超えないと婚姻登録できなかったのでは、とも思えた。私達は前世、シルディサイババの帰依者だったとジョーティッシュ占星術師に告げられている。偶然とはいえ、登録事務所の各部屋に、シルディサイババ肖像画が飾ってあったことがなんとなく、心に残る。


それにしても、インドは多様性の国。そして、全世界の「腐敗認識指数」の調査でインドは昨年度、180カ国中、84位....(日本は17位)。更に下の国があるのを知って驚く。

彼が言うには、今のインドは政府や要職に就いている人々の教育や道徳心が著しく欠けているうえに強欲なため、(富める人から貧しき人まで)汚職を受け入れざるをえない社会体制になっているらしい。そして欧米化が進むにつれ、それが加速している。「それでも悪い人ばかりではなく、賄賂(ブラックマネー)を要求する人々は、全体の70パーセントにしかすぎず、中には良い人もいる」とのこと。

実際、インドには多くの聖者や無私無償の奉仕に生涯を捧げる人々がいるのも事実。
何故多くの人々が、賄賂に頼らざるをえないのか、という疑問が湧く。もともと、給料がそれほど高くないことに加え、インドには、女子が結婚する際に強いられる持参金制度が存在している。

彼の級友が近々結婚するにあたり、花嫁が用意した持参金は、なんと40ラックルピー(1ラック=10万ルピー)。人口の多いインドにおいて、高学歴かつ優良企業に就職しているご子息と結婚するには相当のお金が必要らしい。平均年収が3万8千ルピー(7万6千円)のインドの物価を考えると、40ラックルピー(およそ8百万円)というのは、途方に暮れる金額…。
他にも、インド人でさえ(!)、就職面接の担当者とアポを取り付けるのに賄賂を要求され、学校に入学するにも裏金を用意しないと入れてもらえないという話を聞いて、強力な法的処罰が施工されるか社会の構造が変わらない限り、賄賂の風習が無くなる日は来ないかも...と思った。


去年、ラタン・タタ氏が来訪した際、サイババは同席していたハードロックカフェ創始者アイザック・ティグレット氏に、「(世界中に)レストランは何件あるかね?」とお聞きになった。会話の続きで、今の青少年や保護者が置かれている現状を語り、次のように強調された。
「全てが汚染されている。しかし、私の学生たちがあらゆる場所に行ってそれを一掃するでしょう。それこそが、私の学生たちに与えられた(私に捧げる)奉仕です。」
Bhagwan called out Issac Tigrett of Hard Rock fame asking him, “how many hotels?” "In reply he said, “Swami more than 148 Hard Rock Cafes; but all that is nothing in front of my Master! Master is everything." Continuing with this conversation, referring to the present day plight of youth and parents, Bhagawan said emphatically, “Everything is polluted. My students will go everywhere and clean up everything. That is their service to me

サイババは講話中、折に触れて『社会における道徳の必要性』を強調なさる。社会事情を知らなかった頃、そういった言葉を他人事のように聞き流していた。インド社会の影を垣間見た今となっては、サイババの言葉が重い使命として心の中に反響する。


ちなみに彼は卒業後、腐敗したインド社会を根こそぎ一掃したいという正義感で、IAS(インド行政職)に就くことを志望していた。汚職に対する一途な嫌悪感は、国家の過半数が悪に染まっている状況で身の危険を招く可能性も充分ありえたと思う。サイババは、IAS行政職ではなく、情報工学修士の道に進むよう彼に助言した。

それにしても、なぜ神の化身が選んで降りてくる唯一の国、インドが、そこまでお金に汚く、腐敗しているのかが不思議でならない。

その話を母にすると、「長いものには巻かれろっていうからいちいち憤慨しないで・・・」と、達観した答えが返ってきた。妹に至っても、弁護士事務所で体験した不正請求の額を伝えると、それぐらい、札束で顔をはたいて笑顔であげてきなさい・・・と、冗談一言。
うーん、単に私が青いだけなのかも・・・。
白黒はっきりさせたいこの性格は、つくづく自分でも、インドには不向きだと痛感する。それに、私の家族の方がよっぽど、インドに順応できると思う...。あらゆる意味で、まだまだ、修行が足らんです・・・。


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