サイババの学生の妻として‐ 服装面 その3.


プッタパルティ巡礼三回目に、妹と二人で滞在していた時のこと。
当時私は、「サリーの着方」をまだ知らなかった。
その頃は、「バジャンライン」というものがあり、外国人帰依者もダルシャン中、サイクルワントホールの中心にあるマンディール内に入り、スワミにバジャンを捧げることができた。そして中は、「サリー優先」。妹にもなんとかあの「分厚い層」の神聖な空気に包まれたマンディールのバジャンを体験してもらいたくって、サリーを着つけることに・・・。

六か月前に巡礼した際、フランス人のルームメートにサリーを着付けてもらったことがあるので、なんとなく、雰囲気で着られるだろうと思いきや、仕上がりは、散々…。プリーツの位置はずれているし、スカートの長さも不規則で、胸元の生地のラインもダラーンとして、見れたモノじゃない。


私は、心底、焦った。
どうしよう・・・正装が必要な時は妹にサリーを着せようと思っていたのに、サリーの着方が分からない!
まさか、見知らぬ人の部屋のドアを叩いて、「恐れ入りますが、私にサリーを着付けてください」と申し出るなんてことできないし・・・。


忙しい朝の、貴重な時間。

私は一息ついて、身体に纏わりついている無様なサリーを一旦脱ぎ、深呼吸をしてからサイババに祈りを捧げた。
「スワミ、私はサリーの着方が分かりません。 どうか、私にサリーを着せてください!」

そして、鏡の前でもう一度、こうだったかなぁ?という曖昧な記憶を辿って着付けてみると、なんと今度は、完璧!スカートの長さも、プリーツの具合も、胸元のキチッとしたドレープも、美しくきまっていた。
そしてその日以来、誰に教わるでもなく、私はサリーが着れるように・・・。


たった一度の 『祈り』 だけで、サリーを着られるようになるなんて!
自分に起こったコトとはいえ、私にはちょっと信じられなかった。


普通、祈りで叶う事柄は、奇跡とか、第三次的な力によって状況が動いたりするものだと思っていたから、祈りによって「知識」を授かることもありえるとは、私にとって新たな驚きだった。

そして、もっと驚いたのが、帰国後、仲の良い人達に興奮を交えてそのエピソードを話したところ、誰一人として、驚かなかったことである。これにはさすがに私も、皆さんの信仰心の深さに対して逆に、驚かざるをえなかった・・・(笑)。


さて、この話をセヴァダルのアンティーにすると、「あなたは、結婚しているの?」という質問が返ってきた。

「いいえ」と答えると、「結婚、したいの?」 という更なる質問が・・・。
そうそう、20歳前後で結婚するインドからすると、どうせ私は充分な「行かず後家」ですよ・・・と多少スネも入りながら、そんなプライベートな質問、こんなところで・・・と恥ずかしく思い、答えをはぐらかして笑っていたら、急にアンティーが口調を変えて、説教をし始めた。

「いいですか、スワミは、目上の人の言葉は神の言葉と仰っています。ですから、これから私の言うことを、よく聞きなさい。」
笑ってはぐらかそうとしていた私は、急に口調が変わったアンティーに驚いて、姿勢を正した。
「あなたの、サリーの着こなしは、充分です。イヤリングもしているし、あとは、額にビンディーをして、両腕に1ダズンのバングルをつけなさい。そうすると、よい伴侶に巡り合えるでしょう」。


なんとも、不思議な感じだった。
『インド人女性としての身嗜みを身につけなさい』 というアンティーの言葉はなぜか、スワミからのメッセージのように聞こえた。それを聞いた後、私はボーっとしながら心のどこかで 『あ、おそらく私はインド系の、きちんとした装いが必要な...、ある程度以上の男性と結婚することになるんだ... 』 という予感が走った。


そして結果は、皆さんご存知の通り・・・。
私は去年 「インド人」、しかも「きちんとした装いが必要」な相手と結婚した。
これは、『セヴァダルの声は神の声』 という話を聞くけれど、それもまんざら嘘でもないなぁと思った私自身の体験談・・・。


さて、話題をサリーに戻すとして・・・。
先月、ブリンダーヴァン校からグルプールニマ祭にやってきた彼の地元(パンジャーブ州)出身の下級生と挨拶する際にも(確実に、地元の親御さんに、こんな感じの人だったよ...と報告するので)、パンジャビスーツではなく、サリーを着て行ってね、というリクエストが入っていた。
下級生の方も彼と雑談をしながら、初めて見る「外国人の嫁」がキチンとした装いをしているか、何気にチェックをしている様子。そして彼の横で、少し背筋を伸ばして無言で微笑する私...。
彼に電話が入り、その下級生の、ほぉーっという、「外国人なのにきちんとした身嗜みをしてるなぁ」という視線が一瞬、私の足元で止まった。

「あ・・・、」
私は心の中で呟いた。
「トーリングするの、忘れてきた。」


・・・。
やはり身嗜みというものは、一朝一夕で身に付くものではない...ですよね?
引き続き、今後もなにかと習練が必要そうです・・・。


さて、南インドの正装であるサリーの着つけの便利サイトを探してみましたので、ご興味のある方は、渡印前に、ぜひトライしてみてください。
初めは難しそうですが、プリーツさえ事前に作っておけば、結構簡単です。


また、この他にも 「サリー着付けチュートリアルDVD / VCD」 というものがあると知人に紹介して頂きました。

アシュラム内は『巡礼地』ということで「胸や肩を隠す」というルールがあるため、DVDに紹介されている着付けの中でも使えるスタイルは限られている...とのことですが、じっくりと着方のポイントを学びたい、色んな着方を見てみたい、という方にはとても役立つ映像になるかと思います...。


尚、一度、東京にあるサリーショップの店員さんにお聞きしたところ、日本のサリーは繊維技術がしっかりしているので、レーヨンやノーアイロンの化学繊維系の種類が豊富。逆に、純シルクやコットンサリーは、インドで購入する方が価格、種類においても断然お勧め...、とのことでした。



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