インド女性の美学 - 笑顔


インド女性の美学、というと範囲が広すぎますが、インドに住み始めてから感じた日本との習慣の違いをいくつか紹介したいと思います。
ちなみに・・・私の見聞は保守的なインドの巡礼地や信仰深いヒンドゥー教徒に限られているため、欧米文化に染まった在外インド人(NRI)の家庭、もしくは都市部に住んでいらっしゃる方々の場合とは習慣や状況が異なる場合もあるかと思います。



先ずは、笑顔。


以前ホームパーティーを開いた時に、夏期休暇で実家に戻っていた知人の妹さんも来られていました。
パーティーの間、その女の子と何度か会話をしたのですが、彼女は常に無表情で、反応を読むのに困惑したのを覚えています。 心を読む上での取り付く島がない、という感じでしょうか。
そして、集合写真を撮る前、ベイビーが何か面白い事をしてみんなで大口を開けて笑っていた時も、その女の子は、ほぼ無表情・・・。
写真にも、私をはじめとする多くの人々は大笑いしていた(シチュエーションだった)のですが、彼女と、彼女のお母さんだけは口を一本字に結び、決して歯を見せて笑うことはありませんでした。


パーティーが終わり、彼とゲストの話をしていた時です。
その女の子の話題になりました。


始終、無表情な彼女を見て、「なんて仏頂面で愛想のない女性なんだ・・・!」と言うかと思いきや、
「○○(後輩)のシスターは、なんて素晴らしい品行を兼ね備えた女性なんだ!僕は感心したよ!」としきりに絶賛する彼。


私は友人を通してアナンタプールの女子大生だと知っていたので、「そりゃそうだよ。現役のスワミの学生なんだから。」とは言ってみたものの、内心、女性に対する美学の違いに驚いて目を丸くしたのを覚えています。
日本では、「男は度胸、女は愛嬌」という言葉が、わざわざ “ことわざ”になっているくらいですから...。


翌日、彼女とダルシャン会場で会うと、かなり心が打ち解けていて、ダルシャン終わりに笑顔(というよりも至近距離の人が判別できるぐらいの笑み)で立ち話をする仲になったのですが、彼女は特別シャイというわけではなく、バジャン唱歌も上手く、スポーツミートでは、数々のメダルを受賞するぐらい、活発な女の子です。しかし、知らない人が多く集まる公の場所では心を律し、笑顔を浮かべることはありません...。なんともこの、「素性が分からない人との笑顔の交流は控える」、というインド女性の美徳は、徹底しているように思えます。



ランガラージャン教授のブログ記事、“Code of Conduct for Smiling / Laughing”にも、 「TPOを考慮して笑顔を浮かべないと、トラブルを招くことになる」という記事がありましたが、私も、インド文化を知らなかった頃、笑顔で失敗(赤面)したことがあります。


結婚直後、彼の同級生の結婚式にお呼ばれした時のことです。
同じ大学の卒業生が30人ぐらい勤務している会社の社員の結婚式ということで、サイの卒業生を含むスワミの帰依者が過半数を占める結婚式でした。


新郎新婦への挨拶や食事が終わり、帰ろうとした際、知人(彼の同級生)が目に入ったので、遠くから笑顔を浮かべて会釈をしました。


彼の奥さまが、つい最近ご懐妊されたというのを彼から聞いていたからです。
「おめでとうございます」という意味を込めた笑顔。


しかし次の瞬間、私は凍りつきました。



笑顔を察したその同級生が、ギョッとした形相を浮かべて、強く睨み返したからです。


「しまったー!」
私は赤面し、自分の失敗を恥いました。

インドでは、たとえ面識があっても、女性の方から知人程度の男性に微笑みかけることはご法度だということを、このとき、身を持って知る破目になったのです。


すぐさま彼にその話を伝えて、「私の無知ゆえにこんなことがあった・・・、あとで、その人から聞くかもしれないけど、ごめんね。」と先に謝ったのですが、あの衝撃(まさに、カルチャーショック)は、今でも忘れられません。


ということで今日は、「場をわきまえない笑顔は怖い!」と思ったエピソードでした(笑)。
それにしても、心が明るくて陽気だと、その幸福感が顔ににじみ出て、笑顔を浮かべずとも周りに愛を伝えることが出来るのかもしれませんねぇ。

Always Be Cheerful!
常に明るく陽気であるように


私の愛するババ様の御言葉です。




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