ミニ晩餐会


最近出ているインド関連の書籍には、「インド人を接待するときは、高価な料亭よりも、インド料理店」という常套句が挙げられているけど、先日パルティで、ほんとにそれを実感する出来事が・・・。

ジャズの巨匠、デューク・エリントンが作曲した楽曲の中に、「It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing) − スイングしなけりゃ意味ないね」という曲目があるけれど、インド料理の場合、正に 「It Don't Taste a Thing (If It Ain't Got That Spice) スパイスなけりゃないね」・・・という言葉が当てはまる。


こちらは、エラ・フィッツジェラルドの、「スイングしなけりゃ意味ないね」。格好いいので、趣味で載せてしまいました・・・。Mack The Knife なんかを聞いていると、ウマすぎて思わず笑ってしまうぐらい、まるで管楽器が人間に化けたような声の持ち主の、レディー・エラ。天才と呼ばれている反面、実際、彼女の卓越したスキャットアドリブは、ライブによってブレがなく、修練を重ねて完成した努力の賜物だと言われている。


さて、ここから本題に・・・。
結婚祝いが延び延びになっていたため、今回、急遽、夏季休暇をサイババの側で過ごしていた彼の後輩たちとミニ晩餐会をすることに・・・。
場所の候補は、知る人ぞ知る、穴場の北インド料理店(美味しいけど10席しかない、超インドっぽい安食堂)か、ちょっと豪華な雰囲気の西洋人御用達、ハヌマーンヒルロック・カフェ。迷った末、お祝いだから・・・ということで、今回はインドにしては豪華なハヌマーンカフェに決定した。

メンバーは、ミルプリ音楽大学でインドの打楽器、タブラを学んでいる学生二人、ホワイトフィールドにあるブリンダーヴァン校から休暇を過ごしにパルティに滞在している学生一人、そしてハイヤーセカンダリースクールを卒業して今年から大学一年生、という学生一人に私たち夫婦。


この日のランチに夫を通して、「インド人はスパイシーなインド風トマトスープはOKだけど、淡白な欧風ミネストローネスープはNG」という事実を初めて知った私(焦…)。生粋のインド人でも食べられるように・・・と現地のウエイターと相談してオーダーしたのは、下記の5品。。。


★ クリーム・オブ・カリフラワー・スープ(カリフラワー、生クリーム、バターをミキサーで混ぜたクリームスープ)


★ ロシアンサラダ(野菜を角切りにしてマヨネーズで和えたサラダ)


★ ペスト・ペンネ(バジルペーストに、チーズ、オリーブオイルを加えたショートパスタ)


★ トマト・ペンネ(トマトソースのショートパスタ)


★ ミックス・ベジタブルピザ(季節の野菜がのったピザ)


・・・と写真からもお察しのように、日本人からするとかなり濃い目のメニューばかり。指で食すのがテーブルマナーのインド。スプーンフォークを使い慣れていないから、という理由でロングパスタはパスしてあえてショートパスタをオーダーした。



そしてこれだけしっかり味が付いていれば、きっとみんな美味しいと思うに違いない!と思っていた、が、しかし・・・。



日々、香辛料を多用するインド料理しか食べていない彼らは、一口食べるごとに、微妙〜な表情・・・。要は、味がしないらしい。
彼が、「自己紹介の代わりに、スワミとの体験を一人ずつシェアしようよ」と提案すると、遠慮しながらも、目を輝かせて愛おしそうに、スワミとの個人的な体験を意気揚々と話し始める面々・・・。それとは打って変わり、新たな一品が運ばれるに連れて、手を伸ばす速度が遅くなり・・・、タバスコを用意してみても、辛すぎるといって、全く受け付けない。そうして、会話の流れで誰かが「パニール・バター・マサラ」と口にした途端、別の子が「あー、お願いだから今それ言わないで!」と懇願するように顔をくしゃくしゃにして苦笑いする始末・・・。

うーん…。
軽く見積もっても2−3倍はコストがかかるハヌマーンカフェよりもインド料理の方が良かったなんて・・・(撃沈)。やっぱ、まずかったかな?雰囲気は落ちても、北インド料理を出す食堂のほうがよかったみたいね・・・と呟く私達夫婦…。軽くなった財布を見つめながら、私は改めて「インド人の味覚の奥深さ」に感嘆せざるを得なかった。

唯一好反応を示してくれたのは、インターナショナルな味は食べなれている・・・というお祖母さんがベトナム人という学生で、そういえば私の夫も、婚前は「インド料理一色」、の人生を送ってきた生粋のインド人の一人。
彼にとって初めての外国は、新婚旅行で向かった、日本。初めて和食を口にした彼はその淡白さに仰天し、「これからの人生、一体どうなるんだろう?スワミ、どうかお願いします!」と心の中で祈ったらしい。 そう思うと、彼も色々と苦労してるもんだわ・・・。今日は美味しい北インド料理を、作ろうっと。


さて、ミニ晩餐会のメインディッシュを飾る「体験談」で特に心に残ったのは、「サイババに近付くには・・・」というテーマの話。

サイ・クルワント・ホールのダルシャン会場の中央には、ヴェランダと呼ばれる男性のVIP席があり、そこには、世界各国の世話人サイババの機関に従事する重鎮たちが座っている。中にはそういった重鎮に混ざって学生風の年若い男の子も座っていて、(肉体的には)明らかに他の若年層の帰依者より恵まれた環境にいる。そして、このお話をしてくれた彼も、その一人...。



若くして母を亡くした彼にとって母とは、サイババのみであった。そしてサイババを、この上なく慕っていた。ある日彼は、サイ・ババに質問した。「スワミ、どうして僕は、(付き人として)あなたの車椅子を押せないのでしょう?僕と彼らの違いは何なのですか?」


数日後、スワミが夢に現れた。


両手に持った、同じ形をした水の入ったグラスに目配せしながら、スワミは彼にこう告げた。

「このグラスは、君のグラス」。 「そして、こっちの方は、彼らのグラス」。
「彼」のグラスは水が半分ぐらいまであり、「彼ら」のグラスの方を見ると、水が溢れかえっていた。

そうしてサイババはこう続けた。
君の水は減っていく一方、彼らの水は、グラスから溢れ出ている。この水を満たしているのは、「祈り」です。君は私の側に座ったことによって、祈ることをやめてしまったね。水が溢れかえったとき、その恩寵は流れます。ですから、祈りなさい。いかに肉体が近くなっても、祈り続けるのです・・・。


私は、ある方が語った、一つの言葉を思い返した。
「帰依心は、生物(なまもの)です。」
霊性においては、「昔取った杵柄」は何の意味もなさず、「今」どのような状態であるかが、一番大切・・・。渡印前に聞いたこの言葉は、まさにサーダナの核心を突く至言だと思い、数日間、脳裏から離れなかった。


「祈りは、心の奥深くから湧いてきて、内なる神性と対話するものでなくてはなりません。」と説くサイババは、「愛と真摯な祈りは、人生に成功をもたらします」という講話の中で、祈りに関して次のように語っている。


『どんな大きな仕事でも、祈りによって成し遂げることができます。ですから、心の中で神に祈りなさい。ちっぽけな欲望を満たすために祈ってはなりません。すべての欲望を手放して、愛を込めて心から神に祈りなさい。そうすれば必ず人生は満たされたものになります。愛を通 して初めて、神を理解し、神を経験することができます。中には、「スワミ、私たちが絶えず祈り続けても神は助けに来てくれません」と文句を言う人があります。私は彼らに「間違っているのは神ではなく、あなたの祈りです」と言います。あなたの祈りが誠実なものであれば、その祈りは必ずかなえられます。神には、できないことは何もありません。』


お料理は不評だったけど(泣)、ミニ晩餐会、開催できてよかったです・・・。






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