万能グレービー - サイババ紀行

結婚してから瘠せたね・・・と各方面から言われている彼。
インド人が結婚すると、「夫はみるみる痩せていき、妻はぷくぷく太っていく」という笑い話を思い出して少し、ギクッとした。

うーん、確かに、瘠せてきた・・・。
思い当たる原因は、二つ。

一つ目は彼の理由。
独身時代、入社試験でも「会社にジムはありますか？」と聞くぐらいのワークアウト好きだった彼は、結婚後、ジムに行く習慣をパタッと止めてしまった。（実際、会社にジムが併設されている）なんでも、結婚してから体を鍛えて肉体美を維持することに対する欲求がなくなったらしい。
ある意味、共通する「変化」が私の中にも思い当たる。最近、ショッピングに行って自分を飾り立てるアイテムを買う欲求が無くなり、食料品や彼が必要そうな物ばかりに目が行ってしまう。世の中に、結婚してから魅力が急降下していく夫婦はゴマンといる。私たちもこうやって、段々うすーい夫婦になっていってしまうのかしら・・・いかん（汗）。

二つ目は、私の理由。
チェンナイの街に出かけると、「Ｄｉａｂｅｔｉｃ　Ｃｌｉｎｉｃ（糖尿病クリニック）」をよく目にする。
不思議に思って調べてみると、それもそのはず...、インドは糖尿病、ダントツ世界一の国。世界糖尿病会議の年次報告書によると、去年の患者数は最多の5080万人に上るらしく...。
独身時代なら６か月経っても使いきれない量のバターを、１週間で使い切ってしまう食生活に切り切り替わった私は、「成人病になったら大変だから・・・」と、ヘルシー食を多めに摂るよう彼に提案した。
『キミの作る料理ならなんでも美味しいよ』と言ってくれる言葉を鵜呑みにして、インド料理の出番を少なく、和食をインド風にアレンジしたものを食卓に出すように心がけた。

そうして二カ月もすると、後輩にまで「瘠せましたねぇー」と、全く可哀そうに...という雰囲気を込めて言われるぐらいに、超スリムになってしまってびっくり。彼曰く、「和食っぽいサトウィックな食べ物は好きだけど、食べ慣れていないから体が吸収しない」らしい。
それに・・・、彼が付け加えた。
「ボクが瘠せてキミが（外国人だから思うように料理が作れないと）人から悪く思われるのは嫌だし、瘠せた僕を見て一番悲しむのはお母さんだと思うんだよね」。

・・・。
国際結婚をすると、思わぬ障壁によく（笑）、遭遇する。そして最近は、その壁を楽しめるか、もしくはストレスに感じるかで結婚生活の命運がかかってくるような気がし始めている。いくらソウルメートだとはいえ、全て「あ、うん」の呼吸で物事が進んでいくわけではなく...。
お義母さんの悲しむ顔は、見たくない。

その言葉を聞いてから、私たちの食生活は早速インド料理オンパレードの日々に戻り、彼は...というと、シヴァラートリーに合わせて南インドに来られるご両親に会う前に体型を戻そうと、再び、会社に併設されているジムを利用し始めた。

結婚するまでインド料理なんて作ったこともない私は、時々レパートリーに困ってレシピ本を回し読みする。
そこで・・・「これさえあれば、どんなカレーもプロの味！」というキャッチコピーに惹かれて、『ハッピーベジタリアン』に載っている「カレーグレービー」を作ってみた。

用意する野菜も簡単で、たまねぎ、トマト、にんにく、生姜、以上。あとは、数種類のスパイスにたっぷりのオイル...。
なんでも、このグレービーを作り置きしておいて、火を止める前にささっと大さじ数杯入れると、味に深みが出て一気にプロの味になるらしい。はたして、美食の宝庫と言われているパンジャブ州出身の彼の口にあう料理が作れるか...。

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まずは、あらかじめスパイスを別々に用意しておく。インドには、ジンジャーガーリックペーストが安価で売っているので、それを使用。
左の（煮出し系）のスパイスは、すりこぎで軽く形をつぶす。